四隅が曲面になった角形鋼管柱(コラム)の継ぎ手部分を、レールに取り付けた2台のロボットが一定の速度で動きながら溶接していく。直線部から曲部に移ると速度を変え、直線部でまた元に戻る。この間、トーチ(先端器具)の角度は一定だ〔写真1〕。

〔写真1〕ロボット2台を技能者1人が操作
大林組技術研究所で技能労働者が溶接ロボットの操作方法を訓練しているところ。人が溶接する場合と、トーチを動かす速度や温度が異なるので、技能者は「最初は戸惑った」と言う(写真:日経アーキテクチュア)
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■ 現場ロボット溶接工法

  • 重量:約8kg
  • 目標溶接能率:下向き1.5倍、たて向き1.6倍、横向き1.5倍
  • ※対技能者比、ロボット2台使用

 大林組が開発した「現場ロボット溶接工法」の特徴は、1種類のロボットで鉄骨柱・梁の現場溶接作業を全てこなせること。特に、これまでロボットでは難しかった「梁下フランジ」「梁ウェブ」「コラム」の3種類に対応できるようになったのが強みだ〔図1〕。

〔図1〕主な現場溶接は6種類
鉄骨の主な現場溶接の箇所。下向きの「梁上フランジ」、上向きの「梁下フランジ」、たて向きの「梁ウェブ」、横向きの柱継ぎ手3種類の計6種類(資料・写真:大林組)
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 コラムの難易度が高かったのは、その断面形状による。「横向き」で溶接するのは、円形鋼管柱やボックス柱など他の柱と同じ。ただ、それらと異なり、直線部と曲部とでトーチの速度を変えなければならない。その最適な制御を開発した。

 梁ウェブとコラムは、溶接する向きが問題だった。「上向き」やたて方向にトーチを動かす「たて向き」は、溶接中に溶融金属が流れ落ちやすく難しい。溶融金属の材料、電流・電圧や速度といった溶接条件に改良を加えてそれを解決した。

 この工法で使うのはコベルコロボティクス製の小型可搬型溶接ロボットだ。大林組技術本部技術研究所構造技術研究部の浅井英克主任研究員は、「自社でつくると高価になり、多くの台数を用意できずに結局、現場への導入が進まない可能性がある」と説明する。

 同ロボットはもともと、工場で使われていたもの。工場ならば鉄骨を溶接しやすい場所や向きに動かせるが、施工現場だと据え付けた鉄骨を動かせない。どんな溶接姿勢にも対応できるよう工夫する必要があった。

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