2011年3月の東日本大震災、そして今年9月に起こった北海道地震では、いずれも大型火力発電所が損傷・停止した。それが起因となり、広範囲な停電が起き、復旧に時間を要すなど、大型火力を軸とした大規模集中型の電力システムの脆弱性が明らかになった。

 こうしたなかで再生可能エネルギーが急速に増え、分散型エネルギーシステムの有効性が叫ばれている。その方向性と、「地域活性化策」と結びついた「エネルギーの地産地消」が、自治体や地域社会で大きな流れと認識され始めている。

 その典型が、自治体の出資による「地域新電力」だ。地域で開発した再エネ電源を地域の電力会社が調達し、地域に供給する――。これにより、これまで域外(大手電力会社)に流れていた電気に支払う「お金」を地域内で循環させ、雇用を生み出すのが目的である。

 ただ、この「エネルギーの地産地消」は、エネルギー分野、特に電力システムの専門家からは、評判が悪いのが現実。彼らの言い分はこうだ。「送電線によって一瞬のうちに遠方に送れる電気は、石油やガスなどのエネルギーに比べると圧倒的に流通コストが安い。だから、電力網はできるだけ広範囲につなげ、多くの電源を多くの需要家で利用する方が、需要と供給の双方が平準化されて、システムとして安定し、コストも安くなる」――。

 この考え方は、すでに広範囲に電力網を構築している先進国の電力業界では、一般的な見方とも言える。欧州では国をまたいで電力を融通し合っている。実は、日本でも自治体が「エネルギーの地産地消」を叫ぶ一方で、政府は、大手電力(旧一般電気事業者)の間の地域間連系線の容量を増やし、広域で電気を融通し合う体制を強化している。

 ただ、送電線のインフラが十分に整備されておらず、無電化地域が残っているような途上国では、構築までにコストと時間のかかる送電網に頼らず、地域の電源を地域に閉じた配電網になかで利用する「マイクログリッド」の構築を進める動きも活発だ。これは、日本流に言う「エネルギーの地産地消」と近いエネルギーシステムになる。

 従って、再エネを主体に蓄電池を組み合わせた低炭素型のマイクログリッド事業の主な市場は、アフリカや東南アジアなどの途上国である。ABBやシーメンスなど欧州の重電大手は、すでにこうした国でマイクログリッド事業に力を入れている。

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