「10万食問題」というキーワードを使って、食事と「ウェルビーイング(幸福)」の相関に取り組んでいるのが、予防医学研究者の石川善樹氏だ(写真1)。この10万食というのは、1日3食を取るとして、1年でほぼ1000食。そして、最近よく言われる「人生100年時代」をかけ合わせて導き出された数字である。数多くの食材の組み合わせによって、レシピは無限に作り出すことができる。その中から、ある個人に最適な10万食のレシピを選ぶことでウェルビーイングにつなげられないか、というのが石川氏の考えである。

写真1 2017年のSmart Kitchen Summit Japanで講演した石川善樹氏
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 石川氏の問題意識を具現化したとも言える取り組みが「Computational Creativity」というプロジェクト。パナソニックが運営する、創造的なプロジェクトを支援する施設「100BANCH」(ヒャクバンチ)の初期プロジェクトの1つで、habitechの出雲翔氏らが参加する。石川氏のほか、米IBMの「Chef Watson」の開発リーダーを務めたイリノイ大学のラヴ・ヴァーシュニー教授、最年少でミシュランの星を獲得した松嶋啓介シェフらにメンターを受け、未開拓の料理を発見するためのツール「 Food Galaxy(食材の銀河)」を作成した(図1)。世界中のレシピデータを集め、ディープラーニングなどの機械学習手法を用いて、食材の「類似性」を平面上にプロットすることにより可視化した。これにより、役割が近い食材を置き換えることで、「フランス風すき焼き」など新しいメニューの開発につなげられるというわけだ。

図1  Computational Creativityプロジェクトの成果の1つ「Flavor Network」
「フードペアリング理論」という考えをベースに作成した。食材を丸で示し、食材同士が線で結ばれている場合、相性が良いことを意味している。(画像出所:出雲翔=habitech Inc.)
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参考記事:パナソニックやソフトバンクがアピール、スタートアップイベント「Slush Tokyo 2018」

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