〔写真1〕被害状況をパネルで解説
石垣が崩壊して倒壊した西大手櫓門と元太鼓櫓。ギリギリまで近づける見学経路を設けた(写真:池谷 和浩)
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 熊本市は3月28日、熊本城内を「原則として地震直前の状態に戻す」とする復旧基本計画を決定した。計画期間は2038年度までで、20年間に及ぶ大普請となる。計画はこの長期にわたる難工事を“観光資源”に転じる策も盛り込んだ。

 決定した基本計画書には、「今しか見られない光景」「復旧過程を見る、学ぶ、楽しむ」というキーワードが並んでいる。大西一史熊本市長が打ち出した「復興の模様をリアルタイムで見せる」方針を反映、被災した遺構を可能な限り見学可能とする。

2020年度までの構築目指す

 熊本地震により熊本城址では石垣の約30%が崩れた。関係者以外の内部への立ち入りは禁じており、今は外周側から内部をうかがい見るしかないが、市はすでにポイントごとに遺構の概要や被害状況の解説パネル設置を始めている〔写真1、図1〕。

〔図1〕500面以上の石垣が崩壊
種類 被害数 内容
重要文化財建造物(国指定) 13棟 倒壊2棟、一部倒壊3棟、屋根・壁破損など8棟
重要文化財建造物(県指定) 1棟 旧細川刑部邸で外壁・建具・塀などが破損
再建・復元建造物 20棟 倒壊5棟、下部石垣崩壊、屋根・壁破損など15棟
石垣 517面 被害総面積2万3600m2(全体の29.9%)、うち崩落8200m2(同10.3%)
地盤 70カ所 約1万2345m2で陥没・地割れ
利便施設・管理施設 26棟 屋根・壁破損など
市がまとめた被害概要。重要文化財建造物や石垣などが被害を受けた(資料:熊本市の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

 外側を見て回るだけでも至るところに被害の爪痕が残る〔写真2、3〕。基本計画では、決定後5年以内に完了する短期計画として、城内への仮設見学通路の構築を打ち出した。開設の目標時期は20年度で、可能であれば前倒しする。

〔写真2〕積み上げられた大量の石材
城の外周には至るところに回収した石材が積み上げられている。手前は裏込めの詰石で、奥が石垣の石材。石材はすべて固有番号を振り、位置を特定している(写真:池谷 和浩)
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〔写真3〕裏込め材があふれ出した
西側に位置する馬具櫓。石垣の崩落で上部構造も大きくゆがんだ。こうした崩落が至る所で発生した(写真:池谷 和浩)
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