「失敗続きの“未来住宅”を変える兆しが見えてきた」では、これまでのIoT住宅で大きな課題となっていた企業間を横断した機器や設備の連携について、電子情報技術産業協会(JEITA)の取り組みを紹介した。今回は、住宅内のプラットフォーム化と、IoT住宅を成功させるうえで要となるサービスやコンテンツについて紹介する。

ひそかに構築進む住宅内プラットフォーム

 IoT住宅の市場を離陸させるためには、住宅内の機器や設備を物理的に連携させるプラットフォームが欠かせない。このプラットフォームの構築に、多種多様な企業や団体が名乗りを上げている。LIXILやパナソニックのように、既に具体的な製品を発表している企業もある。

 経済産業省の動向は注目に値する。表立ってIoT住宅のプラットフォームを構築するとはうたっていないが、ひそかに下地づくりを進めようとしているように見えるからだ。経産省が推進しているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の支援事業はそんな状況がうかがえる一例だろう。

 ZEHはエネルギー基本計画を基に、国が掲げるエネルギー削減量の目標達成を主な目的とした支援事業だ。住宅を高断熱化したうえで、高効率設備の導入や太陽光発電システムの設置などで、正味のエネルギー消費量がゼロになる家づくりを推進している。

 一見IoT住宅とは関連がなさそうだが、2018年度の支援事業で結び付きの一端が見えた。従来のZEH仕様よりも高性能な仕様に当たる「ZEH+」の選択要件に、高度エネルギーマネジメント(高度エネマネ)機器の設置を盛り込んだ点だ〔図1〕

〔図1〕2018年度の支援事業では、従来のZEHを上回る上位クラスとしてZEH+を新設した。「高断熱化」「高度エネマネ」「電気自動車対応」の3つの要件から2つを選択する。高度エネマネは、住宅内の冷暖房設備や給湯設備などの制御が可能だ(資料:取材を基に日経ホームビルダーが作成)
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 高度エネマネ機器はHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)がベースとなっているもので、ECHONET Lite(エコーネットライト)に対応している。太陽光発電システムが発電した電力を把握できるだけでなく、住宅内の冷暖房設備や給湯設備などの制御が可能だ。

 この高度エネマネ機器が新築時から住宅内に設置されていれば、居住者は新たな機器の導入といった手間やコストをかける必要はない。つまり、ECHONET Liteをベースにプラットフォームが既に構築されている状態となるため、その上で提供されるサービスであれば、居住者は別途機器などを用意することなく新たなサービスを追加して利用できる状態にある。

 この状況はスマートフォンに似ている。高度エネマネを搭載したZEH+の建物が、スマートフォンに相当する。スマートフォンでは購入後、利用者の好みのタイミングで気軽にアプリをインストールできる。同様に、居住者はECHONET Liteに対応したサービスをライフステージに合わせて気軽に追加できるようになる。

 さらに、電子情報技術産業協会(JEITA)が整備に取り組むメーカーや機器間のデータ属性を共通化したデータカタログと連携できるようになれば、ECHONET Liteを越えた居住者向けのIoTサービスを提供することも可能になる。室温や入居者の状況などを判断して自動で風呂のお湯張りをするといったサービスはその代表例だ。

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