「異能」ともいえる際立った能力や実績を持ち、周りから一目置かれるエンジニアの素顔に迫る。今月は、NextIntというベンチャー企業を設立し、企業向けの「Vein」という情報共有サービスを開発する中山心太氏。機械学習にも強く、複数の企業に技術コンサルティングを提供している。今回は、転職を経て現在の仕事を始めた経緯、人工知能(AI)に対する考え方などを聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経 xTECH/日経NETWORK)


前回から続く)

 2009年にNTTに入社し、武蔵野の研究所でマルウエアを研究していました。マルウエアを逆アセンブルしてコードを読んで挙動を解析したり、OSを逆アセンブルして独自にパッチを当てたりといった研究です。ウイルスを捕まえるハニーポットを開発したり、ウイルスの挙動を監視するための仮想マシンを書いたりもしていました。

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 ただ、僕には仕事できちんと会社の利益を上げたいという気持ちがありました。NTTでセキュリティーを研究していても会社の利益は上がりません。

 当時のセキュリティー業界は再編の波が起こっていました。米シマンテック(Symantec)や米トレンドマイクロ(Trendmicro)といったセキュリティー企業が様々な企業を買収し、実質的にはシステムインテグレーター(SIer)になっていました。

 顧客はセキュリティーがよく分からないので、システムの構築をセキュリティー企業に丸投げします。それに応えるために、セキュリティー企業が実質的にはSIerになるという業界再編が起こったのです。当時は、ストレージベンダーが高額で買収されたりしていました。

 業界がそうしたトレンドにあるときにNTTはどうすべきかと考えました。NTTが買収されることはあり得ないし、かといって他社を買収してシステムインテグレーション(SI)に必要なすべてのアセットをそろえることも考えにくい。NTTでセキュリティーを研究していても会社の利益にならないと思ったのです。

 自分が「セキュリティースペシャリスト」と名乗って一種の「客寄せパンダ」になることも会社に提案しました。表に出ていって注目されることで事業会社の仕事につなげることを考えたのです。しかしこの提案は通りませんでした。

 そこで当時の流行だったクラウド部門に異動を願い出ました。ところが異動後にいろいろあって体を壊してしまいました。

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