「異能」ともいえる際立った能力や実績を持ち、周りから一目置かれるエンジニアの素顔に迫る。今月は、IoT(インターネット・オブ・シングス)を利用した人工知能(AI)ベンチャー「Idein(イデイン)」の創業者である中村晃一氏。多くの参加者を集め半ば伝説と化した「圏論勉強会」の講師としても知られる。今回は、Ideinの取り組みとその狙いについて聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経 xTECH/日経NETWORK)


 Ideinという会社のCEOをしています。Ideinは、技術的にはエッジコンピューティングという分野に取り組んでいます。

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 エッジコンピューティングでは、オンプレミスのサーバーやクラウドではなく、デバイス側で計算を行います。今後ニーズが高まるだろうといわれています。IoTでは膨大なデータがデバイスから発生するので、送られてきたデータをすべてクラウドで処理するのは不可能に近い。そこで、エッジ側で処理するのです。

 多くの開発者が、ディープラーニングなどの機械学習技術を使って、異常検知、モニタリング、データ収集などに主に取り組んでいます。そうした仕組みを実現しようとしたときに、オンプレミスやクラウドではコストがかかりすぎて、なかなかスケールしません。

 例えばカメラを現場に置いて、人が倒れているといった異常を見つけたいとします。オンプレミスやクラウドのサーバーで計算する方式だと、画像を撮って次々にサーバーに送る必要があります。画像を1秒に1枚送るとすると、カメラ1台で24時間動かし続けた場合、1カ月で約260万枚になります。

 それだけの画像をクラウドに送って処理すると、通信料金が膨大になり、クラウドの利用料金もかかります。カメラ1台につき数万円から数十万円のコストです。例えば、小売店舗で客の行動解析をしようとした場合、これだけのコストがかかると難しくなります。

 一方、エッジコンピューティングではデバイス側で計算するので、異常を検知するアプリケーションの場合、異常があったときだけその内容を送ればいい。これにより通信回数が桁違いに減ります。データを受け取って計算するサーバーも要らなくなります。アプリケーションサーバーにデータを直接送ればいいのです。

 加えて、クラウドにすべてのデータを上げるわけではないので、プライバシーや機密情報の保護も容易になります。

 Ideinでは「Actcast」という開発者向けサービスを開発しています。いわゆるPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)です。エッジコンピューティングアーキテクチャーに基づいて、大規模にスケールするAIシステムを開発者が作れるようにするためのサービスです。

 重要な技術は主に2つあります。1つはエッジ側の技術。「いかに安価なデバイスで高度な計算をするか」が極めて重要になります。

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