「異能」ともいえる際立った能力や実績を持ち、周りから一目置かれるエンジニアの素顔に迫る。今月は、ロボット制御の専門家であり、アスラテックというロボット関連企業の技術トップを務める吉崎航氏。今回は、アスラテックがソフトウエア開発に関わったロボットの事例や、幼少期のロボット開発の原点について聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経 xTECH/日経NETWORK)


 アスラテックという企業の「チーフロボットクリエイター」をしています。あまり他では聞かない肩書ですが、アスラテックの技術のトップ、いわば最高技術責任者(CTO)のような立場です。

[画像のクリックで拡大表示]

 ほかにはロボットを活用する社会の実現などを目指す「ロボット革命イニシアティブ協議会」の参与を務めています。また、実物大のガンダムを動かすことに挑戦する「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」というプロジェクトにもシステムディレクターとして参加しています。

 アスラテックは、ロボットを動かすためのソフトウエアの開発と提供に特化した企業です。基本的にハードウエアは開発しません。つまりアスラテックが自社のロボットを開発することはありません。

 ソフトウエアの中でも「駆動部の抽象化」をメインにしています。人間でいうと、筋肉に一番近い、いわば「脊髄くらいまで」のソフトウエアです。ロボットのモーターやシリンダー、油圧や空圧といった駆動部を思い通りになめらかに動かす技術に強みを持っています。

 そうした技術を中心に、遠隔からロボットを動かす技術、いろいろな種類の駆動装置を混ぜて使えるようにする技術、大きなロボットを動かす技術などをソフトウエアとして提供しています。

 主な顧客はロボットを開発している企業です。顧客との関わり方は色々なケースがありますが、顧客が既に持っているものに対して「ソフトウエアで問題を解決してほしい」と持ち込まれる案件が多いです。

 例えば「自社で開発したロボットに思い通りに動かない部分がある」といった相談を受けるケースがあります。企業が作ったハードウエアを持ち込んでもらって、ソフトウエアをすべて開発することもあります。

 ロボットを遠隔で動かしたいという相談もあります。例えば、米国にあるロボットを日本から動かす、北海道で動いているロボットを東京から遠隔でトラブルシューティングするといったケースです。

 基本的には「V-Sido(ブシドー)」というロボット制御のためのシステムを提供しています。V-Sidoは、産業用/ホビー用の各種サーボモーター、油圧、空圧などかなりの種類の駆動装置に既に対応しています。それらを統一した命令で動かせます。

 これにより顧客ごとのカスタマイズが最小限で済み、結果的に幅広いロボットにすぐに対応できる状態になっています。これがアスラテックの強みです。ロボット専業メーカーではない企業は、駆動部を抽象化した制御ソフトウエアを持っていないことが多い。それをアスラテックが提供しているのです。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら