「異能」ともいえる際立った能力や実績を持ち、周りから一目置かれるエンジニアの素顔に迫る。今月は、競技プログラミングのコンテストを開催する「AtCoder」の社長である高橋直大(なおひろ)氏。chokudaiというハンドルネームで知られ、自身も現役の競技プログラマーである。今回は、競技プログラミングのコンテストについて聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経 xTECH/日経NETWORK)


 競技プログラミングのコンテストを開催するAtCoderという企業の経営をしています。以前はAtCoderのシステム開発にも関わっていましたが、今はシステム開発はしていません。

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 AtCoderは基本的にはプログラミングを使ったゲームだと思っています。ゲームを提供して参加者に楽しんでもらうのを第一の目的にしています。ただ、プログラミングを題材にしているので、副次的な要素としてプログラミング教育にかなり使えるサービスになっています。

 しかもゲーム的な要素としてランキングが存在しており、結果的にこのランキングが精度の高いスキル評価になっています。このため、プログラマーのスキルチェックや人材採用につながっています。個人的には、IT人材の発掘や教育につながる仕事をしていると思っています。

 プログラミングは得意な人と苦手な人にものすごく差があります。大学の情報工学科にいても、簡単なサンプルである「FizzBuzz」すら書けない学生がいます。プログラムをさらっと書けるようになる人とそうでない人で適性にかなり差があります。

 AtCoderには高校生も参加しています。大学の学部を選択する前にゲームに近い形でプログラミングに触れてもらい、情報系が自分に合っているかどうかを考えてもらうことができます。これは価値のあることだと思っています。

ビジネスの柱は3つ

 AtCoderを始めたのは、そもそも僕がプログラミングコンテストに出る側の人間だからです。学生時代に米マイクロソフト(Microsoft)が主催するプログラミング大会に出て世界3位を取りました。米国のTopCoderという競技プログラミングのサイトなどでもコンテストに参加していました。

 僕は好きなものを周りの人と一緒にやりたいタイプです。ただ、競技プログラミングのサイトはほとんどが海外で、英語が障害になっていました。英語で何かをやるくらいなら、日本語で他の楽しいことをやるという人がたくさんいたのです。日本語で競技プログラミングの問題を出すサービスを作らなければ、結局、一緒にはできないと思っていました。

 それでAtCoderという日本のサービスを立ち上げることにしました。コンテストを継続して回していくにはビジネス化するのが妥当です。そこで、AtCoderを設立し、今は7年目になっています。

 競技プログラミングのコンテストは問題を毎回作る必要があります。そこにどうしてもコストがかかります。採点のときに実際にプログラムを走らせて、答えが合っているかどうかを判定しているので、採点用のサーバーがたくさん必要になり、ランニングコストもかかります。そうしたコストを賄うには、ビジネス化するしかありませんでした。

 AtCodreのビジネスは、大きく3つあります。

 1つ目は、企業がプログラミングコンテストに協賛して、その企業のブランドイメージを高めるブランディング。2つ目は、その企業が技術に興味があるといろんな人にアピールすることで、参加者と企業の人事担当者がコミュニケーションし、人材採用につなげるサービス。3つ目が、企業の採用活動で応募者のプログラミングの実力を測るための試験問題を作るサービスです。この3つが軸になっています。

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