AIの導入効果を引き出すためには、構築後の運用プロセスこそ重要。そう考えて顧客満足度アップにつなげたのがKDDI子会社で「au WALLETクレジットカード」を発行するKDDIフィナンシャルサービスだ。AIは鍛えるほど賢くなり、頼れる同僚に育つ。

 クレジットカードサービスに関する利用者からの問い合わせをチャットボットで回答できるようにした。2017年4月に導入した直後は約60%だった満足度が、約4カ月後には75%に向上。藤井寛喜CS推進グループマネージャーは「回答の精度を継続的に高める、回答できる質問を増やしたことが満足度の引き上げにつながった」と述べる。

(画像提供:KDDIフィナンシャルサービス)
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 構築を担当したコールセンター運営のKDDIエボルバとKDDIフィナンシャルサービスが連携して運用する。PKSHA Technology子会社のBEDOREが手掛けるチャットボットツールを導入した。運用段階に入ってからユーザー企業がAIを改善するための機能が充実していると評価した。

 具体的には、利用者アンケートの結果が「回答に満足していない」だった際の質問と回答の組み合わせをツールが自動でリスト化。KDDIエボルバの担当者が「本来はどの回答を提示すべきだったか」を選択し、AIに入力して学習させる。毎日地道に積み重ねることで精度を高めた。

 さらにau WALLETクレジットカードの新サービスを始めるにあたって想定される質問と回答や、コールセンターに寄せられる頻度が増えた問い合わせをKDDIフィナンシャルサービスの担当者が新たに追加することで、回答できる質問を拡充した。

 運用段階でAIを育てるには、構築時とは異なる工夫が求められる場合もある。臨床試験の解析用プログラムを生成するAIを構築した塩野義製薬は、運用しながら継続してAIの精度を高めるため、「強化学習」の仕組みを導入する準備を進めている。自動生成したプログラムに人が修正を加えたコードの量を数値化。それをAIにフィードバックし、修正量が少ないプログラムを生成するようAIを鍛える。

 強化学習のための初期モデルの構築をデータ分析企業のDATUM STUDIOに委託。そのモデルを引き取り、社内で学習を繰り返していく計画だ。

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