2020年の東京五輪は安全大国「ニッポン」を世界にアピールする絶好のチャンスだ。警察官や民間の警備員などを総動員して、競技者や観衆、運営スタッフを危険から守らなければならない。

 だが守備範囲は広大だ。オリンピック競技は都内各所のみならず、伊豆や宮城、札幌などでも行われるため、特定の施設だけを厳重に警戒するだけでは事足りない。

 競技のなかでも、街中で行われる“オリンピックの華”であるマラソンは、ランナーが走る距離が42.195kmと長い。コースの沿道には100万人以上もの観衆が応援に詰めかけることが予想される。

 広域に散らばるランナーと大観衆をどうやって守ればよいのか。警備最大手のセコムと警視庁はそれぞれ、オリンピックに向けて過去2回の「東京マラソン」の本番で、テロ対策を含めた最新警備を試してきた。その知られざる裏側に迫り、現状のテクノロジーと約2年後に迫った東京五輪までに実現可能な警備技術の未来を見ていこう。

約150台のカメラを現場に配置

 まずは下の図を見てほしい。これは東京マラソンでのセコムの警備態勢だ。2018年2月に開催した直近の大会では、要所要所に仮設の監視カメラを設置。さらにコース周辺に警備員を配置した。警備員の胸には小型のウエアラブルカメラが付いている。警備員は、柱や看板の上などに固定された仮設カメラと違って移動が可能。つまり、警備員は「動くカメラ」としての役割も果たしている。2018年大会では合計で約150台のカメラを使用した。

マラソンコースのあちこちに、監視カメラと小型のウエアラブルカメラを胸に付けた警備員を配置。撮影した画像は解析する「セコムセンター」に送り、結果をコース近くに停めた監視車両(オンサイトセンター、写真中央の車)に送る
(出所:セコム)
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 しかも高い位置に設置することが多い監視カメラと違って、警備員のウエアラブルカメラなら映したい人や物に警備員が近づいてアップで撮影したり、人の目線に近い高さで顔画像を捕らえたりできる。

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