グリーンインフラの社会実装が先行して進む米国ニューヨーク市。同市では合流式下水道の課題解決などに、グリーンインフラによる越流水対策を導入している。ブルックリン・ゴワナス運河の先進例を交えて、水辺総研の滝澤恭平取締役が説明する。

水辺総研 取締役 滝澤恭平(たきざわ・きょうへい)
1998年大阪大学人間科学部卒業、角川書店にて編集者として勤務。2007年工学院大学建築学科卒業、ランドスケープデザイン事務所・愛植物設計事務所勤務。14年に東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了、15年に株式会社水辺総研を共同設立、ミズベリング・プロジェクト事務局ディレクターや日本各地で水辺のまちづくりに取り組む。現在、九州大学大学院工学研究院環境社会部門博士課程にて、グリーンインフラによる流域・地域づくりをテーマとした研究を行っている(撮影:日経コンストラクション)
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水環境パートとしてグリーンインフラを位置付け

 米国ニューヨーク市のグリーンインフラの最大の特徴は、合流式下水道の越流水(CSO : Combined Sewer Overflow)対策を通して、都市水域(water body)の水質改善を行うことにフォーカスしている点である。

 雨水と汚水が同じ下水管を流下する合流式下水道では、一定以上の降雨の際には下水管の流下能力を超えた、雨水混じりの汚水が吐き口から河川に流出してしまう。その結果、都市水域の水質は悪化し、生態系やアメニティー、景観にダメージを与えるのが、ロンドン・東京などのような合流式下水道を採用する世界中の都市に共通の問題である。

合流式下水道と雨天時の河川への越流水(CSO)の仕組み(出所:滝澤恭平・水辺総研取締役)
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 ニューヨーク市の場合は、このような合流式下水道の課題に向かい合い、グリーンインフラによるCSO対策を行うことによって、水辺のアメニティーやレクリエーションの質向上、都市生態系の再生を行い、同市のウォーターフロントの魅力を水域から高め、再生することにターゲットを設定している。

 この方針は、ブルームバーグ元市長の下で作成した「Vision 2020: New York City’s Comprehensive Waterfront Plan」という、ニューヨーク市の水辺の総合的なビジョン/都市戦略とも連動している。つまり、グローバル・シティーのダイナミックな水辺再生ビジョンに貢献する、水環境パートとしてグリーンインフラを位置付けている。

Vision 2020: New York City’s Comprehensive Waterfront Plan(出所:NYC)
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