JETROサンフランシスコ、在サンフランシスコ総領事館、パナソニック、デロイトトーマツベンチャーサポートに在籍し、シリコンバレーに駐在する4人のメンバーが2016年に立ち上げた「シリコンバレーD-Lab」。2017年3月にまとめた第1弾では、シリコンバレーで自動車業界に起きているイノベーションをまとめ業界に大きなインパクトを与えた(前回のテーマに関する座談会の記事はこちら)。2018年1月末に発表した調査テーマは「大企業におけるシリコンバレー新規事業開発」(レポートのダウンロードはこちら)。なぜ、このテーマを選び、何をまとめたのか。2017年に続き、座談会を開催した。(編集部)

D-Labのメンバーに質問をするリンカーズ桑島氏(撮影:加藤康、以下同)

桑島氏:D-Labの皆さんには前回、自動車産業の変革についてお話をうかがいました。今回は、大企業における新規事業開発に焦点を当てて話をうかがいます。変革の波への対応に対して、自動車産業だけではなく、全般的な産業に関して、米国企業と日本企業の間に非常に“時差”があるのではないかと考えております。

 はじめに、前回のプロジェクトによって起こったこと、今回の第2弾をやろうと考えたきっかけをまず教えてください。

森 俊彦(もり としひこ)
パナソニック(Panasonic Automotive Systems Company of America)Senior Engineer
2003年、松下電器産業(現パナソニック) に入社、コンシューマー向けビデオカメラ事業部で組み込みソフト開発から、商品企画、機種ソフト責任者として従事。2013年、シリコンバレーにあるB2B車載事業の先行開発部門に赴任となり、大企業の中でスタートアップとコラボしたPOC開発、スタートアップ投資(最近ではDrivemode Inc.への投資)、新規事業開発の推進や、経産省の始動Next Innovator海外サポーターなどにも参画。大阪大学基礎工学部卒。大阪大学大学院基礎工学研究科修士卒。

森氏:前回、第1弾の最終報告を2017年3月末に開催しまして、おおよそ300名の方にお集まりいただきました。経済産業省はじめ多くの方々に、現在の自動車産業で起きていること、ここに対する危機感と、そこにあるチャンスについて発表させていただきました。幸い、大変多くの方々に関心を寄せていただき、この発表資料のダウンロード数が約17万となりました(シリコンバレーD-Labプロジェクトの発表資料レポート)。

 第1弾のレポートでは、シリコンバレーと日本の自動車産業における意識のギャップについてまとめました。このレポートをまとめた当初のターゲットは、日本の中小企業でした。日本国内で200万人が従事しているという自動車関連産業で、その大多数が中小企業に属します。自動車産業が大きく変化した後でも、こうした中小企業の方々が、次の新規事業を創れるようにしたいと考えたのです。

 ところが、前回レポートの発表後、中小企業にとどまらず、大企業の方からも、どうやって新規事業を起こしたらいいのかといったお悩みのご相談を数多く受けました。シリコンバレーに出てきている大企業も手探りで、戦略がないままにバラバラで新規事業に取り組んでいました。そこで今回は大企業向けに新規事業をやるにはどうすればいいかというレポートに仕上げることにしました。

 第1弾のレポートを発表して驚きだったのは、自動車業界だけでなく、化学系や製薬系といった異業種の方々からもアプローチがあったことです。実は自動車産業で起きているこの構図が、化学や製薬業界にも同様に押し寄せて来ている、というのです。例えば製薬業界では、10年かけてコツコツと基礎研究をして、メガヒットの薬を1品1品作っていくようなビジネスだったのが、今はM&Aでどんどんヒット商品含め会社ごと買っていくスタイルに変わった。さらに研究の形態も変化していて、ITやAI(人工知能)を使って研究・開発スピードを上げているというのです。

 そこで、自動車という枠を越えて、日本の産業が構造的に抱えている課題を整理すれば、現状への理解と同時に、そこにはチャンスがあることが見えてくるのではないかと考えました。日本企業のシリコンバレー進出は3回目のブームと言われていますが、新規事業開発が単なるブームで終わらせないために、どうやってサポートできるかをメンバーで議論し、大企業がシリコンバレーで新規事業を実現するためのステップを、有識者のサポートをいただきながらレポートとして整理しました。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら