FinTech革命によって今までにない斬新なサービスが登場し、利用者が具体的なメリットを享受できる段階に来ている。一方で2018年1月には、革命の旗手と目されてきた仮想通貨取引所の1社が巨額の流出事件を起こした。「イノベーション」と「ルール」のバランスをとる難しさを露呈した格好だ。ここ数年続いてきた“熱狂”に冷や水も浴びせた。FinTech革命はどこへ向かうのか。金融業界の論客たちがその行方を占う。

 Fintech協会は、2015年9月の設立から3年目を迎えた。当初は22社のスタートアップ企業で発足したが、加盟社数は毎月増加の一途をたどる。今では「ベンチャー会員」が102社、金融機関などの大企業を中心とした「法人会員」が223社の、計325社が所属している(2018年2月末時点)。

日本でFinTechエコシステムが定着

丸山 弘毅(まるやま・ひろき)Fintech協会 代表理事
慶應義塾大学卒業後、ジェーシービー入社。リスク分析・マーケティングなどのビッグデータ関連業務、新事業開発・ M&A業務を担当。2006年インフキュリオン・グループを創業。決済・FinTech関連の新規事業立ち上げ支援で多 くの実績を挙げる。また、スマホ決済ベンチャーのLink Processing、自動貯金サービスfinbee、CardWave出版な ど、キャッシュレス化に向けた様々な事業を展開。2015年に一般社団法人Fintech協会を設立、代表理事に就任。
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 FinTechの本丸と捉えられてきた領域以外の企業が新規加盟する例も目立ってきた。特に、人工知能(AI)や保険関連スタートアップ企業が増加している。異業種からのFinTechへの参入や、働き方改革の潮流に沿ったHR(ヒューマンリソース)とFinTechの融合を目指す企業、さらには中国の決済関連企業も加わっている。

 こうした傾向を鑑みても、2018年はますますFinTech分野が拡大し、他領域との融合やグローバル企業の日本参入が続く1年になると見ている。

 FinTech分野が拡大している背景には、日本におけるFinTechの認知向上と環境整備がある。例えば2017年9月にFintech協会は、金融庁と日本経済新聞社との共催でイベント「Fin/Sum Week 2017」を開催した。国内外の多くの関係者が日本のFinTechに興味を持って来場し、活発な意見交換が交わされた。海外の関係者の中には、日本の取り組みの先進性に対する驚きの声も上がった。

 元々スタートアップ企業の集まりだったFintech協会が、金融当局と共に大型イベントを開催できたことは日本でもエコシステムが定着し始めた証左だと言えよう。

 実際、世界各国の大使館や金融業界団体などからFintech協会への問い合わせは少なくない。いくつかの政府・団体とは協力関係を構築することで基本合意した。このほかにも、日本市場への参入を模索する問い合わせや相談も多数寄せられており、海外からの注目度は今後も高まっていくだろう。

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