1998年(平成10年)、大和銀行と日本IBMが情報システムの開発や保守・運用を担う共同出資会社を設けた。アウトソーシングブームの口火を切った形だ。米コンパック・コンピュータによる米ディジタルイクイップメント(DEC)買収などIT業界再編の動きも目立った年だった。

記者会見で握手するコンパック・コンピュータのエッカード・ファイファー社長とディジタルイクイップメントのロバート・パーマー会長(右)
出所:共同通信
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 スポーツ界にとって節目の年となった1998年。自国開催の長野五輪でスキージャンプ・ラージヒル団体の日本チームが金メダルを獲得した。サッカーでは日本代表がワールドカップ(W杯)に初出場した。このフランス大会を皮切りに、サッカーの日本代表は直近の2018年ロシア大会まで6大会連続でW杯に出場。決勝トーナメントにも3度進出した。

 IT業界ではクラウドコンピューティング全盛の今につながる動きが見え始めた。システムの開発や保守・運用をIT企業に委託するアウトソーシングが日本のユーザー企業の間で広がり始めたのだ。大手企業を中心にシステムの「所有」から「利用」への流れが加速し、システムの機能をインターネット経由で使うクラウドの普及へとつながっていった。

 きっかけとなったのが大和銀行(現りそな銀行)と日本IBMが結んだ長期大型契約だ。契約期間は10年、総額3000億円とされる。システムの開発から保守・運用までを全面的にIT企業に任せる先駆けと言える事例だ。

10年で500億円の削減を狙う

 実務を担ったのは大和銀と日本IBMが共同出資し、1998年3月に設立した「ディアンドアイ情報システム」だ。出資比率は大和銀とその関連会社などが65%、日本IBMが35%。従業員は約300人で、大和銀からの出向者が約260人、日本IBMからの出向者が約40人という陣容だった。

 システム関連コストを抜本的に下げるのが主な狙いだった。大和銀は当初、アウトソーシングにより10年間で500億円のコスト削減効果を見込んでいた。単純計算で年50億円の削減となる。これは大和銀の年間システム経費の15%近くに達する規模だった。

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