2012年(平成24年)、特許庁が基幹系システムの刷新を中止する方針を固めた。5年と55億円を投じたが、システムは完成しなかった。富士通と理化学研究所のスーパーコンピューター「京」が完成したのもこの年だ。

特許庁
写真:アフロ
[画像のクリックで拡大表示]

 ロンドン五輪で当時としては最多となる38個のメダルを獲得して日本中が沸く一方、消費増税法の成立や自公政権の政権奪還など社会変化が著しかった2012年。1月には大規模システム構築の失敗が明らかになった。特許庁が2006年12月から5年越しで進めてきた基幹系システムの刷新プロジェクトを中止する方針を固めたのだ。

 当初は新システムを2011年1月に稼働させる予定だった。だが業務分析の遅れなどで作業は難航した。特許庁は稼働予定を3年延ばして2014年1月としたもののプロジェクトを立て直せず、55億円もの巨費を投じたシステムは完成しなかった。

当初から難航、挽回できず

 特許庁が新システムの刷新に向けて動き始めたのは2004年のことだ。政府が打ち出したレガシーシステムの刷新方針である「業務・システム最適化計画」に沿って、特許審査や原本保管といった業務を支援する基幹系システムの全面刷新を計画した。政府の刷新方針は特定ベンダーとの長期契約によるITコストの高止まりを解消する狙いがあった。

 開発ベンダーを選定する際に、特許庁は入札を分割調達の形にして競争原理を働かせようとした。要となるシステム設計とシステム基盤の構築は東芝ソリューション(現東芝デジタルソリューションズ)が99億2500万円で落札した。同社は技術点で最低の評価だったが、入札予定価格の6割以下という安値応札が決め手となった。

 特許庁はBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を伴うシステムの一括刷新に臨んだものの、当初から難航した。業務分析からベンダーに依存しており、体制も不十分だった。ベンダー側でも経験不足や管理体制の不備といった問題が露呈、結果的にプロジェクトは滞った。特許庁はアクセンチュアと30億円超の契約を結び、プロジェクト管理支援を委託していたが遅れを挽回できなかった。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は登録月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら