2007年(平成19年)、社会保険庁(当時)が管理する年金記録に5000万件の不備が発覚し、「消えた年金」として社会問題となった。iPhoneとAndroidの登場でスマートフォン時代が到来した年でもあった。

iPhoneを掲げる米アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)
写真:AP/アフロ
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 「どげんかせんといかん」。宮崎県知事となった東国原英夫氏の言葉が話題を集めた2007年。日本では年金記録の不備が発覚し社会問題となった。「消えた年金問題」である。

宙に浮いた年金記録

 話は10年前の1997年にさかのぼる。年金を管理する社会保険庁(当時)は異なる年金番号体系を「基礎年金番号」に統合する取り組みを進めていた。

 当時は国民年金や厚生年金保険、共済組合といった年金制度ごとに独自の番号を振っていた。これを10桁の数字から成る基礎年金番号に統一しようとした。社保庁は「年金相談や年金の支払いがスムーズで確実になる」とうたっていた。

 社保庁は国民1人ひとりに基礎年金番号を通知すると同時に、複数の年金番号を持つかどうかを尋ねた。その後、受け取った回答をコンピュータ上の記録と照合し、「氏名」「生年月日」「性別」に基づいて名寄せをした。

 年金システムで保存していた年金納付記録は約3億件。このうち基礎年金番号にひも付けることができたのは当初約1億件にとどまり、残る約2億件は名寄せができなかった。

 社保庁は2億件について、その後10年をかけて照合作業を進めた。しかし結果的に、約5000万件の記録は誰のものか分からなかった。メディアは「宙に浮いた5000万件」などと報道。データ管理のずさんさが明るみに出た。

問題は入力ミスだけではない

 消えた年金問題はなぜ起こったのか。データの不備や入力ミスが一因だった。例えば5000万件のうち約30万件で生年月日が入力されていなかった。かつての年金システムは文字入力がカタカナだったため、氏名の漢字を読み間違えて入力したミスもあった。

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