2005年(平成17年)、みずほ証券の誤発注がバグで取り消せず400億円超の損失を出した事件が注目された。責任の所在はみずほ証券かシステム運営元の東京証券取引所か。裁判は10年に及んだ。

みずほ証券の株誤発注に関わる売買システムの不具合について謝罪会見をする東京証券取引所の鶴島琢夫社長(左)
写真:アフロ/読売新聞社
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 愛・地球博(愛知万博)の開催、卓球の福原愛選手の中国超級リーグ挑戦など「愛」が目立った2005年。この言葉とは程遠い事件がIT業界を揺るがした。みずほ証券が12月8日に起こした株誤発注だ。

 みずほ証券の担当者の人的ミスが発端だったが、注文を受け付けた東京証券取引所(現日本取引所グループ)の株式売買システムのバグで被害が拡大。損失額は400億円を上回った。システムの運営元である東証の鶴島琢夫社長(当時)は責任を取り12月20日付で辞任。みずほ証券と東証はその後10年にわたり裁判を繰り広げた。

誤発注に気付くも取り消せず

 誤発注の対象は東証マザーズに新規上場したジェイコム(現ライク)の株だった。上場当日の12月8日、ジェイコム株は公募価格61万円で初値が付くのを待っていた。

 同日午前9時27分、みずほ証券の担当者が「1株61万円」の売り注文を誤って「61万株1円」と入力し、株式売買システムに送信した。すると初値が67万2000円に確定すると同時に上下10万円の売買価格の制限幅が設定され、「1円」の誤発注が下限価格57万2000円で取引されるみなし処理に移行。売買が成立していった。

 誤りに気付いたみずほ証券は取り消し注文をしたものの東証の売買システムは受け付けず、最終的に発行済み株式数1万4500株の約48倍に当たる70万株の取引が成立した。みずほ証券は70万株について1株当たり91万2000円で現金決済する特別措置を取り、結果的に400億円超の損失を出した。

 東証の売買システムが取り消し注文を受け付けなかった原因はバグにあった。バグは「初値がついてみなし処理がされた売買注文への変更または取り消し処理が連続対当中に行われたとき」にのみ発生した。対当中は株式の取引が成立し、約定処理をしている状態を指す。極めて特殊な状況下において表面化するバグだったと言える。

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