新潮社が写真週刊誌「FOCUS」を創刊し、それまでなかった写真を前面に押し出すスクープ報道を始めた1981年。IT業界にも新しいタイプの雑誌が誕生した。本誌「日経コンピュータ」である。

 日経コンピュータの名物コラムと言えばコンピューター関連のトラブルを取り上げる「動かないコンピュータ」だ。本誌は1981年の創刊当初から、動かないコンピューターを追いかけていた。

日経コンピュータは創刊当初から「動かない」オフィスコンピューターを報道していた
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 本誌が注目したのはオフィスコンピューター、通称オフコンだ。当時オフコンは汎用コンピューター(メインフレーム)よりも安価で操作も容易、誰でも使いやすいコンピューターとして急速に普及していた。しかしその一方でユーザー企業に納品されて半年たったにもかかわらず稼働しないといった、文字通りの「動かない」オフコンの存在が急増していたのだ。

 主な原因は今も昔も同じでソフトウエア開発のトラブルにあった。ハードウエアの納入が先行し、ソフトウエア開発が後手に回る事態が相次いだ。当時はパソコンや表計算ソフトが日本で普及する前の時代だ。オフコンが稼働しなくて困ったユーザー企業はキーボードの前でそろばんを使った集計を強いられていた、と本誌は伝えている。

 背景にあったのは猛烈なオフコン・ブームだ。事務機・電卓、家電、産業機械、印刷、出版といった業種の企業が続々とオフコン市場に新規参入し、オフコンメーカーの数は1975年の約30社から6年後の1981年には約70社にまで増えた。オフコンのディーラー(販売会社)も文房具店などによる異業種参入が相次ぎ、その数は1981年までに1000社を超え、販売競争が激しくなった。一方でメーカーやディーラーによるシステムエンジニア(SE)の育成は進んでいなかった。

 結果、ソフトの開発力が足りずにユーザーの希望を満たせなかったり、開発が手間取って納期に遅れたりする事態が頻発した。メーカーも対策として業務別・業種別のパッケージソフトの開発を進めていたが、当時のパッケージはカスタム開発が不可欠であり、SEの足りないディーラーにとって焼け石に水だった。

1981年の主な動き
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