「J-SOX法」が成立して企業による内部統制の強化が進む一方、IT業界では架空取引など不祥事が相次ぐ――。2006年(平成18年)のことだ。ソフトバンクが携帯電話事業に参入し、大手3社が出そろった年でもある。

協力会社社員による不正を謝罪するNTTデータの浜口友一社長(左側、当時)
[画像のクリックで拡大表示]

 イタリアのトリノで開催した冬季オリンピックでフィギュアスケートの荒川静香選手が金メダルを獲得し、「イナバウアー」が流行語となった2006年。日本システムウエア(NSW)社員による4億円超の着服が明らかになるなど、IT業界は相次ぐ不祥事に揺れた。ソフトバンクがボーダフォン日本法人を1兆7500億円で買収して携帯電話事業に参入したのもこの年だ。

通常取引に架空取引を混在

 NSW社員の不正が判明したのは4月のことだ。取引先の印鑑を偽造した上で売り上げや仕入れの帳票を偽造し、架空の機器販売を繰り返した。

 通常取引の中に架空取引を混在させる手口で、2005年4月から2006年3月までに36件の不正を働いたとされる。機器の仕入れ資金だけでなく、仕入れた機器自体を着服した。金額は計4億2800万円相当に上った。「優秀な社員に受注から納品、検収まで一連の手続きを任せきりで、上司が内容を確認しなかった」。NSWの中島秀昌社長(当時)は日経コンピュータの取材に対し、不正の経緯をこう説明した。

 NSWは不正を働いた社員を懲戒解雇とし、詐取額に相当する特別損失を2006年3月期決算で計上。その結果、2005年3月期の当期純損益は3億1700万円の黒字だったが、2006年3月期は1億5100万円の赤字へと転落した。中島社長は再発防止策として、社内教育の徹底や承認手続きと内部監査の強化を打ち出した。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら