
せっかく優秀なエンジニアがそろっているのに、職場環境やマネジメントがイケていなくて、メンバーのモチベーションが上がらない。生産性が低い。組織の価値は低いまま。
そんな残念なIT職場の「あるある話」を、働き方改革のエキスパートがスパっと斬る。あるある話を通して、これまでの常識を疑ってみよう。改善の糸口がきっと見つかるはずだ。
閉じる
せっかく優秀なエンジニアがそろっているのに、職場環境やマネジメントがイケていなくて、メンバーのモチベーションが上がらない。生産性が低い。組織の価値は低いまま。
そんな残念なIT職場の「あるある話」を、働き方改革のエキスパートがスパっと斬る。あるある話を通して、これまでの常識を疑ってみよう。改善の糸口がきっと見つかるはずだ。
会話が無い。聞こえてくるのは仕事の指示や叱責のみ。そんなIT職場で働いた経験がある。叱責が耳に付く職場だった。若手にヒステリックな声をあげている先輩社員も目立っていた。
情報を発信する文化――。ITエンジニアの間で顕著に見られるこの文化が注目され始めている。
この連載の前々回で「テレワーク・デイズ」にちなみ、テレワークなどリモートでの働き方を頑なに拒んだりやろうとしなかったりするIT職場の残念さを語った。この記事に対して読者の方から実に多くの反響があった。
人と何かのつながりの強さを意味する「エンゲージメント」なる言葉が、日本でもマネジメントのキーワードとして注目されつつある。日本では個人の組織に対するエンゲージメントが低いと言われ問題視されており、その中でもIT職場は深刻だ。エンゲージメントを阻害する仕組みや慣習が散見される。
働き方改革の影響もあり、テレワーク制度の導入が進んでいる。それに伴い「業務上の必要がないのに頻繁にテレワークをする部下がいて困る」のような悩みを持つ管理職が増えているという。
「RPA」「AI」「機械学習」というキーワードがにわかに世の中を賑わしている。どんな組織も、積極的に最新技術を取り入れて、仕事のやり方をアップデートしていく必要がある。一方で「残念」なIT導入が後を絶たない。
「申し訳ありません。フリーランスの方との取引はNGだと、経理から待ったが掛かりました」。先日、筆者に講演を依頼してきていたあるIT企業の担当者からこう言われ、言葉を失った。
開発も運用も、営業とは仲が悪い。IIT職場でよくある話である。いわゆるSI企業で、営業と仲むつまじいIT職場にはあまりお目にかからない。営業は目先の売り上げや数字を重視するあまり、顧客の言いなりになりがちだからである。
社員の教育機会に部門間で大きな差がある企業では、成長できない人が出てくる。同じ会社に勤めていながら外部研修を受けさせてもらえる/もらえない、本を購入できる/できないなど格差がある。外れのIT職場に所属しているエンジニアは転職を考える。
ペーパーレス推進を支援しているようなIT企業が、社内ではいまだに手書きにこだわっていたりする。採用時に手書きの履歴書や郵送にこだわる会社は、手書き文化が残った遅れたIT職場として敬遠され、人が集まらない。
悲しいかな、運用の仕事や担当者には光が当たらない。システムは止まらなくて当たり前。それでいて、なかなか評価されない。障害が起きると集中砲火を浴びる。なぜそんな悲劇が起きるのか。
批判を恐れず、率直に言おう。IT職場から、事務作業はとっととなくしたほうがよい。事務作業まみれのIT職場は、誰も幸せにならない。
優秀な人ほど、今のIT職場に見切りを付け始めた。なぜIT職場から社員がどんどん去っていくのか。背景には経営者や営業担当者の「ゆがんだ成功体験」がある。
IT職場の存在感のなさを嘆くシステム担当者は多い。筆者の感覚では、存在感が薄いIT職場にはほかの部門の人たちにとって「近寄りがたい」という共通点がある。
IT職場で経験から学ぶプロセスを回せなければ、全てが無駄になる。非常にもったいない。目先の仕事に追われていると学習機会も用意できない。
インシデント・ゼロやヒヤリハット撲滅を目標に掲げるIT職場は数多い。だが私の経験では逆効果でしかない。現場の担当者はトラブルを隠そうとして報告を上げてこなくなる。
日本企業にありがちな「決めない」「決まらない」が日常化したIT職場。決まらないが続くと、優秀な社員ほど会社を辞める。プロジェクト経験を積む機会が減るからだ。
「安全性に不安があるからクラウドの導入に踏み切れない」。顧客企業が言うなら理解できるが、IT企業がセキュリティやガバナンスを「言い訳」にして導入の検討すらしないのはいかがなものか。
「ウチの社員はあいさつしない」。こう漏らすIT職場の管理職は少なくない。では「あいさつ運動」を始めて、社員に強制すればいいのか。それは逆効果でしかない。
事務職の人には当たり前の環境や待遇でも、エンジニアのやる気を削いでしまうトラップは社内のあちこちに潜んでいる。現場のエンジニアの声に耳を傾けよう。