「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入しろ」「AI(人工知能)を使って効率化だ!」「当社も機械学習を活用せよ!」。

 「RPA」「AI」「機械学習」というキーワードがにわかに世の中を賑わしている。働き方改革や生産性向上の文脈で、企業・官公庁・自治体問わず、さまざまな組織でトップや本部長の号令一下、新たなITテクノロジーが取り入れられようとしている。

 この潮流は好ましい。どんな組織も、積極的に最新技術を取り入れて、仕事のやり方をアップデートしていく必要がある。一方で「残念」なIT導入が後を絶たない。

残念なITシステムの背景にある3つの「残念」

 ある中堅製造業の経理部門がRPAらしきものを導入した。「事務手続きの自動化による業務効率の向上」と「社員の高付加価値業務へのシフト」というよくある目的を掲げていた。

 そのやり方が問題だった。

 社内各部署や取引先から送られてくる申請書類や請求書などを受け付けて審査する。この業務を効率化するはずだった。しかしその内容たるや次のようなものだった。

  • 申請者に、手書きの書類に押印させたものを提出させる運用はそのまま
  • 自動化されたのは、手書きの書類をチェックした上で受け付け/差し戻しを行い、基幹システムにインプットする作業のみ

 ちょっと待って!書類の手書きを無くさなくてどうするの? 押印する手間や無駄はそのまま? 経理部門の事務担当者の仕事だけは自動化されてラクになった。しかし申請者の手間は無視かよ!――このようなクレームが噴出しているという。

 この企業では問題にならなかったが、中には新しく作られた経理システムに申請書類を提出するための、ID/パスワード発行や、登録手続きなどが無駄に増えただけ。そんな笑えない業務効率化もある。

 まさに木を見て森を見ず。ダメな業務フローを延命させてしまう、はた迷惑な「独りよがりRPA」が今日も産声を上げようとしている。

 残念なITシステム導入。その背景には3つの残念がある。

残念なITシステムの背景にある3つの「残念」
(出所:あまねキャリア工房)
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