「ウチの部署は予算が少なくて、外部の研修が受けられない」「前の部署では教育にお金をかけてもらえたのに、IT職場に異動したらセミナー参加どころか技術書すら買ってもらえない」「部長が替わったら、人材育成の予算が全部カットされた」

 ある中堅システムインテグレーターの社員たちがため息をつきながら、こう漏らす。不満の理由を一言で言えば、教育機会に社内格差があるのだ。同じ会社に勤めていながら、外部研修を受けさせてもらえる/もらえない、本を購入できる/できない。部門間で予算に大きな差がある。

 社員教育に熱心な部門では、社外のフォーラムや勉強会にどんどん参加できる。資格の取得もサポートしてくれる。一方、そうではない部門は教育機会が皆無。同じ会社の社員なのに知識とスキルで差が開いていく。明らかに不公平だ。

 なぜ教育面で社内格差が生まれるのか。大きく3つの理由が考えられる。

  • 社員教育を部門予算だけで実施している。そのため、もうかっている部門(勝ち部署)ともうかっていない部門(負け部署)で差が出る。
  • 部長の考えで教育する/しないが決まる。教育熱心ではない部長の下では機会が与えられない。
  • 無駄な仕事が多い。そのため教育を受ける時間が取れない。無駄が多ければ部門の利益を生み出せず、教育に回す余力がなくなる。

 それでも自分磨きに熱心な社員は言い訳をしない。自助努力と自己負担でスキル獲得や向上に励む。しかし、それにも限界がある。

 ITの資格取得やスキル獲得にかかる費用は、(ものにもよるが)決して安くない。10万円単位のコストがかかるものもある。技術カンファレンスやセミナー、フォーラムなどは費用の問題もあるが、日中や定時後に開催されるものが多い。会社の支援がなかったり、残業が常態化したりしているIT職場では、自助努力だけではいかんともしがたい。

だったら異動すればいい? いや「転職」しよう

 「このままではエンジニアとして成長できない。教育に投資してくれる会社か、せめて定時後の勉強会くらい参加できる職場に移りたい」。向上心がある人ほどそう考えるようになる。

 勝ち部署に配属された同期入社のエンジニアは、メキメキと力をつけてきている。技術も知識も資格も身につけ、成果を上げている。雑務に追われてろくな教育も受けられない社員は待遇が大違いだ。

 「だったらウチの部署に来たら? 異動希望を出してみなよ」。同期のエンジニアはさらりと言う。

 最近は社内のフリーエージェント制度のようなものを取り入れている会社がある。条件さえ合えば、希望の部署に異動できることもある。

 しかし、希望する部署に空きがあるとは限らない。仮に異動できたとしても、元の部署の人たちとの人間関係がギクシャクすることもある。社内だけに気を使う。

 「だったら、転職しようかな」。こうして社員の関心は、外に向いていく。

教育機会に社内格差があるIT職場の問題地図
(出所:あまねキャリア工房)
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