(写真:加藤 康)

 ものづくり、建設、ITの各業界において世間を大きく騒がせた大事故やトラブルを受け、企業の取り組みや制度・ルールはいかに変わったのか。過去の事故・トラブルは今、どのような形で生かされているのか。世間を騒がせた重大な事故・トラブルの教訓とは――。専門記者が徹底的に掘り下げるとともに未来を展望する。
 第6回も「維持管理の重要性」に焦点を当て、家電や住宅設備のリコールや長期の法定点検を行う制度の実情のほか、今後の太陽光発電の事故リスクなどを話題に上げ、効果的な点検や保守の仕組みをいかに構築すべきかを議論した。

参加者 浅野祐一=日経 xTECH 建設 編集長/日経ホームビルダー編集長
吉田 勝=日経 xTECH副編集長/日経ものづくり副編集長
中山 力=日経 xTECH副編集長/日経ものづくり副編集長
井上英明=日経 xTECH副編集長/日経コンピュータ副編集長
司会進行 大石基之=日経 xTECH編集長
戸川尚樹=日経 xTECH IT 編集長

――トンネルや大規模な構造物では、保守点検にコストがかかりますよね。そうした費用面でも維持管理にはいろいろと課題がありそうです。(第5回で)浅野さんから点検が進んでいるという話が出ましたが、どの程度順調なのでしょうか。

浅野前回も触れた笹子トンネルの天井板崩落事故の話題で、点検制度が充実してきたとお話ししました。橋やトンネルといった道路構造物では5年に1回の目視などによる定期点検が義務付けられました。道路構造物で言えば、2018年度がその5年に1回の点検サイクルの最終年度に当たります。点検されたインフラは着実に増えていますし、点検技術の開発も着実に進んでいるところです。

 点検で不具合が見つかると補修が要ります。軽微な段階で補修した方が低コストで、構造物の長期的な性能も確保しやすい。でも、初回点検後の補修では、大きな補修が必要な構造物への手当てが優先されている。なかなか軽微な異状にまで手が回らないのが実情です。現状では、維持管理の理想的なサイクルを回す段階には至っていません。

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橋とトンネルの点検結果とその後の対応。「診断結果」は2014年度から16年度までの間に点検したインフラの健全度内訳。Iが健全な段階を示し、数が大きくなるほど問題が大きくなっていく。「II・III判定の修繕着手率」は、14年度と15年度の点検でII(予防保全)またはIII(早期措置)と判定されたインフラのうち、修繕に着手している箇所の割合を示した。「IV判定への対応」は、IV(緊急措置)と判定されたインフラへの対応状況(予定を含む)(資料:国土交通省)
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