ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)を活用し、人と機械が協調することによって、生産性を落とすことなく安全性を向上させる新しい安全思想「協調安全」――。その普及を図る一般社団法人セーフティグローバル推進機構(IGSAP:イグサップ)は、2018年2月28日に「Safety2.0適合審査登録制度」の運用を開始した。

 同制度はIGSAPが定めた「Safety2.0適合基準」に基づき審査を行い、適合した対象と組織を登録公表するというもの。併せて、対象には適合マークの表示許可を与える。今回、その第1号として、舗装・土木事業を手掛けるNIPPOが開発した2種類の緊急自動停止装置「WSシステム(Walker Safety System)」が登録された。

IGSAPの向殿政男会長(右)が、NIPPOの常務執行役員技術副本部長で総合技術部長でもある荒井明夫氏(左)にSafety2.0適合証明書を手渡した(写真:三上 美絵)
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 1つはRFID(ICタグによる近距離無線通信)を用いた装置で、既にタイヤローラーに採用されている。舗装工事ではタイヤローラーなどの建設機械が前後に動き回るなかで、作業員はアスファルトの温度測定や、敷きならし端部の整形をしなければならない。建機の死角に人が立ち入れば重大事故につながる恐れがあることから、同社はこの自動停止装置の開発に踏み切った。

Safety2.0適合審査の模様。後退するタイヤローラー(手前)は、ICタグを装着したマネキンが3.5m以内に近づくと装置が反応し緊急停止する。設定の変更も可能だ(写真:NIPPO)
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タイヤローラーのデモンストレーションの様子(動画:NIPPO)

 作業者はヘルメットやポケットにICタグを装着。ローラーが後退時にその電波を受信すると、エンジンのスターターキーをオフに回転させる装置が働き、建機を強制的に停止させる仕組みだ。建機の側面で作業する人間を検知しないよう、磁界発生装置をローラー後部の左右両端に取り付け、2つの磁界の交わったエリアのみを検知するように工夫した。ICタグを検知する距離は、建機の作業スピードなどに応じて変更することもできる。

 もう1つは、ステレオカメラを用いた自動停止装置だ。建機の後部に設置したステレオカメラには、人や障害物を識別するソフトウェアを搭載。建機の後退時に人や物などを検知すると、運転席のモニター画面と警報音によってオペレーターに知らせると同時に、電動シリンダーとチェーンで結ばれたブレーキペダルが床面に引っ張られ、ブレーキがかかる仕組みだ。

 この装置は、アスファルトの合材工場で稼働するホイールローダーに使用されている。ホイールローダーは、骨材など重量のあるものを抱えているので、できるだけ衝撃を抑えて緊急停止する仕組みを採用した。ICタグを装着していない部外者や車両なども検知できることが特徴だ。

合材工場で稼働するホイールローダーの後部に取り付けたステレオカメラ(赤丸部分)。人や障害物を認識できる(写真:NIPPO)
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ホイールローダーのデモンストレーション(動画:NIPPO)

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