一般社団法人セーフティグローバル推進機構(IGSAP:イグサップ)は2018年3月7日、中央労働災害防止協会(中災防)の協力の下、企業の経営者や管理者を対象に「安全経営フォーラム」を開催した。同フォーラムは安全を経営の重要課題として捉え、講演会などを通して参加者が共に学び合い、語り合うための場。同年2月に開催した前回のデンマークに続き、今回はフィンランドから安全衛生の専門家2人を招へい。新しい時代の安全構築に関して活発な議論を交わすと共に、その実現に向けて今後、日本とフィンランドが連携していくことを確認し合った。

日本とフィンランドが連携して「新・ゼロ災運動」に取り組むことを合意した。左からFIOHのAlanko Tommi(アランコ・トミー)氏、IGSAP会長の向殿政男氏、FIOHのTiina-mari Monni(ティナマリー・モニ)氏、中災防理事長の八牧暢行氏(写真:三上 美絵)
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 今回の安全経営フォーラムのテーマは、「第4次産業革命時代の新しい安全“新・ゼロ災運動”を目指して ~Vision Zeroによる安全及び協調安全“Safety2.0”に関する日/フィンランド協同について」。実は、このテーマ自体は、デンマークから安全衛生の専門家を招へいして開催した前回と変わらない(欧州巻き込みグローバルで「安全」の発展へ、IGSAPと中災防が始動)。逆に、あえて同じにした背景には、日本が提唱する新しい安全の方向性について世界から広く意見を求めると同時に、欧州で展開されている「Vision Zero(ビジョンゼロ、VZ)」や「Zero Accident Forum(ゼロ・アクシデント・フォーラム、ZAF)」の起源とされる日本の「ゼロ災運動」を世界に広く訴求する狙いがある。

 そこでまず、ゼロ災運動を推進する中災防教育推進部ゼロ災推進センター上席専門役の畑英志氏が、日本におけるゼロ災運動の歴史を振り返りながらその本質を解説した。講演の中で、同氏が説明に多くの時間を割いたのが、ゼロ災運動の主要な取り組みの1つであるKYT(危険予知訓練)だった。

 KYTは、職場や作業の状況の中に潜む危険要因と、それが引き起こす事故などの現象をチームで話し合いながら、解決策を考え共有することで、作業者が行動する前に安全を先取りする能力を身に付けるための手法。日本ならではの企業文化が生んだボトムアップの取り組みとして1978年の導入以来、製造業や建設業など全国の現場に広く普及した。今では、作業者レベルの危険予知活動に管理監督者が参加しコメントすることによって、一体感を高め、不安全行動の未然防止に高い成果を上げている。

 「KYTは、作業者一人ひとりの危険感受性を高める『人づくり』と同時に、職場のチームワーク、コミュニケーションで問題を解決する土壌をつくり出す『職場づくり』としても機能している。結果、KYTは安全だけではなく、生産性や品質、サービスの向上をもたらす。こうしたことから、経営者はKYTを積極的に推進している」と、畑氏はKYTの本質を分析した。

中災防教育推進部ゼロ災推進センター上席専門役の畑英志氏は、ボトムアップによるKYT(危険予知訓練)を中心にゼロ災運動について報告した(写真:三上 美絵)
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登壇した畑氏の掛け声で、「Let’s go for zero accidents,okey!(ゼロ災でいこう、ヨシ!)」の指差し呼称を全員で唱和(写真:三上 美絵)
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