断熱性能が高く、省エネ設備を採用することでエネルギーをあまり使わなくても済むといわれる「省エネ住宅」。性能を数値などを示されても、その真の姿は分かりにくい。本当に省エネ住宅は快適なのか。住宅ライター歴25年の筆者が、数多くの住宅を見てきた目で真相を探る。5回にわたって紹介する予定だ。

 2018年1月某日、筆者こと、ワタナベキヨヒコの元に、日経 xTECH(クロステック)のYデスクから呼び出しがかかった。住宅に関連するウェブ連載で、「折り入って相談がある」というのだ。このワタナベキヨヒコ、住宅ライターとしてのキャリアは25年。どんな難題でもどんとこいってなもんだ。

 さて、どんなお題が待っていることやら。勢い込んで編集部に乗り込んだ筆者に、Yデスクが提示した企画は「省エネ住宅」だった。挨拶もそこそこに、Yデスクは企画の話を始めた。


Yデスク:このところ、建築・住宅の分野では、省エネ性能の向上が国策として進んでいますよね。

ワタナベ:そうですね。全世界的に地球温暖化対策が求められていますからね。日本の住宅分野でも13年に省エネ基準が改正されましたし、20年には新築住宅に対して省エネ基準の適合が義務化される予定ですよね。

国土交通省の建築物省エネ法のページ。住宅において現時点では、省エネ基準の適合は義務化されていない(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 ここで少し、日本の住宅業界が置かれている状況について整理しておこう。

 1990年代にCO2などの温室効果ガスによる地球温暖化が問題視されるようになって以来、CO2削減を目指す低炭素社会の実現は、日本の住宅業界でも重要な課題になっている。

 15年12月12日には第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で、20年以降の地球温暖化対策を定めたパリ協定が採択され、日本も30年までに13年度比で温室効果ガスの排出量を26%削減することを宣言している。産業分野では取り組みが進んでいるが、住宅業界が中心となる家庭分野での取り組みは遅れた状態だ。

 そのため、国は住宅分野において、省エネ性能を高めてエネルギーの消費量を抑える「省エネ住宅」を推進している。その施策の1つとして昨今話題になっているのが、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、通称「ZEH(ゼッチ)」だ。

 建物の断熱性能を高めるほか、設備の省エネ化や太陽光発電などによるエネルギーをつくりだす、いわゆる「創エネ」を組み合わせるのが特徴だ。家庭で消費するエネルギーを抑え、自家発電などでエネルギーを自給自足する住まい方を目指している。つくるエネルギーと使うエネルギーが、年間で差引き正味ゼロになる家だ。

 国は20年までに新築注文戸建て住宅の過半数で、さらに、30年までには平均的な新築住宅がZEHとなることを目指している。

ZEHの定義では、省エネと創エネで年間の消費エネルギー量が正味ゼロになることを求めている(出所:経済産業省)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら