「この『ビグ・ザム』みたいな建物は何なの?」。筆者の知人が指さしたのは、福島第1原発の2号機原子炉建屋に寄り添うように立つ「西側構台」の写真。2017年5月に完成した西側構台は、廃炉に向けた作業で重要な役割を担う2本脚の建物だ。廃炉の現場を約7年間にわたってリポートした書籍「すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>」の筆者がその秘密を解説する。

左手が2号機原子炉建屋と西側構台(出所:東京電力HD)
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 テレビアニメに詳しくない人のために説明しておくと、ビグ・ザムとは「機動戦士ガンダム」に登場する巨大兵器のことだ。円盤のような胴体から突き出たたくましい2本脚が特徴で、主人公アムロ・レイが所属する地球連邦軍を宇宙戦で窮地に陥れた。高さは約60mもある。

 2号機原子炉建屋の西側構台も、言われてみればビグ・ザムよろしく2本脚。円盤状の胴体の代わりに、「前室」と呼ぶ直方体の部屋を支えている。地上からの高さは約40mで、ビグ・ザムのひと回り小さいサイズだ。

 前置きはさておき、西側構台は何のために、どうやって設置されたのか。2号機の事故についておさらいしながら詳しく解説していこう。

 1974年7月に営業運転を開始した福島第1原発の2号機は、「BWR-4」と呼ぶ形式の沸騰水型原子炉だ。格納容器にはMARKⅠ型を採用し、出力は78.4万kW。プラントの主契約者は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と東芝で、建屋は鹿島が施工した。

 事故の際、2号機はベントに失敗し、1~3号機で最も多くの放射性物質を大気中にまき散らした。ただし、1、3、4号機と違って原子炉建屋の水素爆発は免れた。1号機で起こった水素爆発の衝撃で、2号機の建屋上部のパネルがたまたま開き、水素が外部に逃げたとみられている。

 事故前と外観にさほど変化がないうえ、東京電力が対応を後回しにしていたこともあって、1号機や3、4号機に比べるとあまり注目されてこなかったが、実は今後、燃料の取り出しに向けて、大掛かりで特殊な工事が繰り広げられる予定だ。

西側構台を建設する前の2号機原子炉建屋(出所:日本記者クラブ取材団代表撮影)
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