13年ぶりに登場した新型「aibo(アイボ)」は、ソニー復活の象徴となるのか。ソニーOBの前刀禎明氏(現・リアルディア 代表取締役社長)は、「今のソニー製品はユーザーの手元までのこだわりが足りない」と指摘する。ソニー退社後、米ウォルト・ディズニー、米アップル日本法人(現・アップル・ジャパン) 代表取締役などを経た前刀氏によるaiboのレビュー記事を、日経トレンディネットの連載「前刀 禎明の『モノ売る誤解 買う勘違い』」から転載する。(構成/赤坂麻実、写真/渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)




急に“犬”から“機械”になるaiboに困惑

 一方で、「なんでこうしちゃったんだろう」と疑問に思うところもいくつかあります。

 一つは、遊んでいる途中でいきなりロボットっぽくなるところ。例えば、aiboにはaiboが装備しているカメラで写真を撮影してくれるモードがありますが、写真を撮るときは「ポンポンポン」という機械的な音がします。これまでの犬っぽさから急に“機械”になった感があって面食らいますね。「え、犬でいるんじゃなかったの?」って。「世界観」というと誤用になるのかもしれませんが、製品のコンセプトや背景設定みたいなものに、一貫性がないのが気になります。

遊んでいると突然“機械”っぽくなってしまうのはなぜ?
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 同じことが充電台のデザインや専用アプリの設定画面にもいえます。充電台は、ロボット掃除機の付属品と大差ない形状で色も選べません。ピンクは画像認識しやすい色だし、aiboは少ロットの生産になるので充電台は1色に絞りたい、といった理由は想像できますが、残念です。自宅のリビングなどに置くことを思うと、部屋の内装に合う色を選べるようになっていてほしい。デザインも一工夫欲しかったですね。

aiboの充電台のデザインがいま一つ。充電台の色もピンク1色のみだ。aiboが認識して自分で帰って来られるようにするために認識しやすい色にしたのかもしれないが……
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 専用アプリ内の各種設定画面も、いかにも事務処理。これではスマートフォンの画面輝度や音量などを設定する画面とさほど変わりません。一貫性がないというのは、こういうところもなんですよ。メーカーにいわせれば、aibo本体を作るチーム、充電台を作るチーム、アプリを作るチーム、それぞれ違うんでしょう。かけられるコストにも制約があるんでしょう。事情は察せられます。でも、そんなメーカーの事情をユーザーに押し付けるべきではありません。製品がユーザーに見せる世界に、一貫性を持たせるべき。どんな事情にも優先して、それを徹底してこそ、ユーザーの満足や感動を最大化できるのです。これは以前、テレビのリモコンについて話したこととも共通する課題です(関連記事:手元までこだわれるか 革新性はソニーの“宿命”だ)。

aiboの状態やaiboが撮った写真を確認するためのスマートフォンアプリ
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スマートフォンの設定用アプリに似たようなデザインでがっかり
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