13年ぶりに登場した新型「aibo(アイボ)」は、ソニー復活の象徴となるのか。ソニーOBの前刀禎明氏(現・リアルディア 代表取締役社長)は、「今のソニー製品はユーザーの手元までのこだわりが足りない」と指摘する。ソニー退社後、米ウォルト・ディズニー、米アップル日本法人(現・アップル・ジャパン) 代表取締役などを経た前刀氏によるaiboのレビュー記事を、日経トレンディネットの連載「前刀 禎明の『モノ売る誤解 買う勘違い』」から転載する。(構成/赤坂麻実、写真/渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)




 ソニーが新型「aibo」を発売して1カ月強が過ぎました。“ソニー復活”の象徴としても注目されているこのaibo、僕も短い時間ですが実際に手を触れ、遊んでみました。ユーザーの感性に寄り添っているか、本質的な部分に妥協なくこだわれているか、そして、ユーザーに最も近いインターフェース部分を大切にできているか。こんな観点でaiboを見てみましょう。

前刀禎明氏、aiboに向き合う
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aibo、スタイル良すぎじゃない?

 新型aiboの外観を見て最初に思ったのは、ちょっとスタイルが良すぎるなということでした。実際の犬、それも成犬に近い均整の取れたプロポーションだと思うのですが、かつての「AIBO」に比べると目や体などがリアルに表現されている分、イメージが固定的になり、想像の余地が少なくなるように感じました。

 ソニーは新型aiboのコンセプトを「ユーザーと心のつながりを持ち、愛情の対象になりえるロボット」としています。あくまで犬型のロボットであって、実際の犬に酷似させる必要はないはずなので、もう少し漫画的な表現があってもよかったのではと思います。頭が大きいとか、鼻が低いとか、子犬っぽさや不完全さがあったほうが、「愛情の対象」になりやすいからです。

新型aiboは結構スマート。成犬に近いプロポーションをしている
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 エンターテインメント分野を例に取ると、ディズニーが作るアトラクションは割とリアル路線ですよね。登場する人形に、同社が「オーディオアニマトロニクス」と名付けている、音に合わせて動くロボットを採用していて、見た目も精巧。よく作り込まれた舞台装置と演出の中で子供たちが見ると、本物(の動物など)かと思って、ワクワクやドキドキが増す仕掛けになっています。

 一方で、ピクサー・アニメーション・スタジオのアニメ映画は、ディズニーのオーディオアニマトロニクスとは一味違ったアプローチをしています。映画『モンスターズ・インク』でモンスターの世界に迷い込む少女「ブー」などは好例でしょう。頭を大きくして、あえて外観のバランスを崩すことで、見る人が親しみをおぼえるようなキャラクターデザインになっている。コンセプトや利用シーンからいって、aiboもこれに近い考え方で、もっとデフォルメが強いデザインにしたほうが、製品のコンセプトに合致したのではと思います。

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