(1)改正後5年間の出題傾向

 港湾空港は大きく分けると主に計画、設計、施工の三つの分野から出題されてきましたが、2016年度にインフラのストック効果や施設の改良・更新計画について問われるなど、維持管理も重要な分野になってきました。17年度も、既存ストックの活用を踏まえた新規航路などの誘致がテーマになっています。以下の表は、改正後の13年度から17年度までの5年間の出題概要です。II―1は4問から2問を、II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選択します。

問題番号 出題概要 分野*
港湾 空港
2017年度 II 1―1 一般貨物船用の公共岸壁前面の泊地と航路の平面形状や水深の条件 2500mの滑走路を有する空港の制限表面の形状と設定の目的 計画
1―2 公共用水域の水質汚濁に関する環境基準、閉鎖性海域の環境改善の施策と効果 計画
1―3 耐震強化岸壁または耐震強化を行う滑走路の耐震設計に用いる地震動の設定方法 設計
1―4 海上工事に用いる高精度GPSの測位の仕組みと活用事例および効果 施工
2―1 埋め立て地盤の薬液注入工法による液状化対策工事の調査や設計、施工の手順、出来形と品質を確保するための留意事項 設計、施工
2―2 新規の国際コンテナ航路または国際航空路の誘致における事前の検討事項とプレゼンテーションの内容、セールス以外の重要な活動 計画
III 1 民営化の背景とメリット、懸念事項と望ましい民営化のあり方 計画
2 国土強靭化基本計画で設定された「起きてはならない最悪の事態」を回避するための施策と技術開発の項目、技術開発の課題と解決策 計画
2016年度 II 1―1 インフラのストック効果の事例と内容 維持
1―2 海面の埋め立てで環境影響評価法の対象となる事業規模と手続き 飛行場の建設で環境影響評価法の対象となる事業規模と手続き 計画
1―3 信頼性設計法の概念と限界状態の内容 設計
1―4 海面を埋め立ててコンテナ埠頭を整備する際に必要な作業船の用途と工事内容 空港を拡張して滑走路を整備する際に必要な建設機械の用途と工事内容 施工
2―1 インバウンド客を受け入れる施設の整備や管理にあたって、収集すべき事項と対応策の手順および留意事項 計画
2―2 地震によって被災した岸壁または空港基本施設の復旧計画の立案にあたって、収集すべき事項と立案の手順および留意事項 計画、設計
III 1 東・東南アジア地域との海上輸送または航空輸送の変化と課題および解決策、解決策の障害と対処法 計画
2 施設の中長期の改良・更新計画における手順と課題および解決策、解決策の効果と弊害 維持
2015年度 II 1―1 国際コンテナターミナル新設事業の費用便益分析 滑走路新設事業の費用便益分析 計画
1―2 係留施設の上部工の健全度評価 滑走路(アスファルト舗装)の健全度評価 計画、維持
1―3 ケーソン式混成堤の構成を図示して各機能を説明 アスファルト舗装の構成を図示して各機能を説明 設計
1―4 情報化施工の事例の概説 施工
2―1 地球温暖化を踏まえ、沿岸地域の施設計画を見直す際に検討すべき外力と手順、施設および留意事項 計画
2―2 桟橋構造の岸壁増深の設計における調査項目と手順、留意事項 アスファルト構造の滑走路増厚の設計における調査項目と手順、留意事項 設計
III 1 物流や少子高齢化などの社会構造の変化を踏まえた港湾または空港の整備の課題と解決策、解決策を実施する際の問題点 計画
2 交通インフラの海外展開において検討すべき項目と解決策、解決策を実施する際の問題点 計画
2014年度 II 1―1 公共貨物の取扱量の将来値を推計する手法 国内線旅客数の将来値を推計する手法 計画
1―2 水質の評価方法 騒音の評価方法 計画
1―3 水深5mの緩い砂地盤に建設する埋め立て護岸の構造形式と選定理由、設計上の留意点 設計
1―4 軟弱な粘性土地盤を対象とした改良工法の概要と施工上の留意点 設計、施工
2―1 大規模な地震や津波に対するBCP(事業継続計画)の策定に必要な検討内容と留意事項 計画
2―2 供用中の岸壁の改良工事における安全管理の検討事項と留意点 供用中の誘導路の改良工事における安全管理の検討事項と留意点 施工
III 1 世界の海上または航空輸送の動向、国際競争力の強化のための課題と選定理由、解決策と実施時の問題点 計画
2 物流ターミナルまたは空港の基本施設を維持・更新するうえでの考え方、調査・計画や工事の各段階で開発すべき技術と提案理由、技術開発の課題と実現策 全分野
2013年度 II 1―1 岸壁前面泊地の静穏度の検討方法 ウィンドカバレッジの検討方法 計画
1―2 環境影響評価の基本的な考え方と選定時の留意点 計画
1―3 混成堤の性能設計における照査項目と留意点 空港舗装の性能設計における照査項目と留意点 設計
1―4 液状化対策工法の概要、供用中に施工する場合の対策工法と選定理由および留意点 設計、施工
2―1 船舶の大型化への対応が必要な施設、計画の検討内容と留意または工夫すべき事項 滑走路の増設に対する技術的な可能性、計画の検討内容と留意または工夫すべき事項 計画
2―2 桟橋の補修のための調査内容と手順、留意点 滑走路の補修のための調査内容と手順、留意点 設計、維持
III 1 公共工事の品質を確保するための検討項目と課題および解決策、解決策の効果と実施時の問題点 全分野
2 強化すべき災害対策に関する課題と選定理由および解決策、解決策の効果と実現のための方策 全分野
* 分野の欄の「維持」は「維持管理」

 港湾空港の記述式試験では、出題全体の半分以上を計画分野が占めており、この分野の勉強は外せません。計画系のテーマについては、国土交通省のウェブサイトに掲載された審議会などの情報を収集しておけば、論文をまとめるのに役立つはずです。II―1やII―2では設計に関して出題されることもありますが、範囲が広く、テーマは多岐にわたっています。地盤改良工事の最近の施工不良を受けて、17年度はII―2―1で施工についても出題されました。ただし、5年間の出題内容を見ると施工の分野からの出題数は少ないことから、施工を専門とする受験者は別の分野についても勉強する必要があります。

 IIIでは、16年度などのように物流や国際輸送も重要なテーマです。海外も含めて輸送の動向を押さえておきましょう。国際競争力の強化やインフラの海外展開といった視点で問われるケースも考えられます。17年度のII―2で取り上げられた既存ストックの活用やIII―1の民営化など、時流を意識した出題も続いています。最新の国土交通白書にも目を通すようにしてください。

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