(1)改正後5年間の出題傾向

 河川砂防は、受験者の専門性から河川、砂防、海岸・海洋の三つに大別できます。河川の分野には治水計画や利水計画、河川施設や河川構造物などが、砂防には地すべり防止などが、海岸・海洋には海岸の保全計画や海岸構造物などがそれぞれ含まれています。各分野ともに計画、設計、施工、維持管理を対象としていますが、計画や設計に関する出題が多くを占めています。下の表は、改正後の2013年度から17年度までの5年間の出題概要です。II―1は4問から2問を、II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選択します。

問題番号 出題概要 分野*
2017年度 II 1―1 中小河川の水害被害の特徴と課題および対策 河川 計画
1―2 ダムの堆砂について、下流への土砂の還元策と事例、特徴と留意点 河川 計画
1―3 大規模地震による土砂災害の形態と周辺への影響、砂防分野における対策 砂防 計画
1―4 海岸堤防の設計波の設定方法、海岸堤防の必要高さの算定方法と留意点 海岸 設計
2―1 ハザードマップの作成手順と活用上の留意点 全般 計画
2―2* 景観に配慮した防災施設の整備上の留意点、調査・計画や設計、施工の各段階で通常、検討すべき項目 全般 計画、設計、施工
III 1 既存ストックの有効活用の具体例、活用を推進していくうえでの課題と改善策 全般 計画
2 働き手の不足によって生じる問題、生産性の向上に資する取り組み例と課題および解決策 全般 計画
2016年度 II 1―1 一級河川の整備計画の策定にあたって配慮すべき事項と留意点 河川 計画
1―2 洪水調節専用の流水型ダムの特徴と設計時の留意点 河川 設計
1―3 火山噴火に伴う土砂災害への対策における計画時の留意点と平常時や緊急時の対策 砂防 計画
1―4 設計津波の水位の設定方法と留意点および海岸保全施設に要求される耐震性能 海岸 設計
2―1 インフラのストック効果とフロー効果の対比、ストック効果を発揮するためにインフラ整備に求められる視点 全般 計画
2―2 インフラの健全度を評価する方法と点検方法、長寿命化計画を作成する際の留意事項 全般 維持
III 1 ICT導入のメリットと事例、ICTの促進や活用のための問題点と解決策 全般 計画
2 大規模な自然災害の事例と防災・減災への方策、ハザードマップの課題と改善策 全般 計画
2015年度 II 1―1 河川管理施設等構造令を踏まえた河川堤防の構造と強化策 河川 設計
1―2 供用開始から長期間経過したダムの点検や検査の目的と内容および活用方法 河川 維持
1―3 警戒避難に用いられている土砂災害発生の予測手法の特徴 砂防 計画
1―4 設計高潮位の設定方法と留意点 海岸 計画
2―1 自然災害に対する被害の最小化に向けた平時および災害時の防災情報の内容 全般 計画
2―2 災害復旧事業において、河川や砂防、海岸の分野で環境の観点から配慮すべき事項 全般 計画
III 1 計画規模を超える水災害に対する施設の安全性や機能確保の課題、事前対策と制度上の課題 全般 計画
2 維持管理のPDCAで考慮すべき課題と解決策、実行時のリスク 全般 維持
2014年度 II 1―1 都市部の河川における水害対策 河川 計画
1―2 洪水調節機能の強化を目的とした既存ダムの活用法と特徴 河川 計画
1―3 土砂災害を防止・軽減するための対策 砂防 計画
1―4 海岸の浸食対策として保全施設を計画する際の留意点 海岸 計画
2―1 自然環境の保全や回復、創出の観点から施設整備の各段階で留意すべき事項 全般 計画
2―2 巨大地震の発生による被害を軽減するための対策と留意点 全般 計画
III 1 維持管理・更新における課題と解決策、実行時のリスク 全般 維持
2 流砂系における土砂管理の課題と対策、マイナスの影響 全般 計画
2013年度 II 1―1 河川法の目的と河川整備計画で配慮すべき事項 河川 計画
1―2 台形CSGダムの特徴 河川 設計
1―3 土砂災害の特徴と対策の留意点 砂防 計画
1―4 粘り強い海岸堤防の構造上の工夫 海岸 設計
2―1 ハザードマップの作成や普及・活用にあたって工夫すべき点 全般 計画
2―2 防災施設の効率的な維持管理と留意事項 全般 維持
III 1 気候変動の影響例やこれまでの災害の教訓を踏まえた留意点と対策、対策のリスク 全般 計画
2 事業評価の概要と事業効果の算定方法、これらの課題と改善策 全般 計画

* 2017年度のII―2―2の問題は出題文と論文構成例を掲載。分野の欄の「海岸」は「海岸・海洋」、「維持」は「維持管理」

 主に専門知識を問うII―1では、河川の分野から2問、砂防や海岸・海洋からそれぞれ1問が出題されています。そのため、砂防または海岸・海洋を専門とする受験者は、専門外の分野から1問を選択する必要があります。17年度は16年度などに比べて出題のテーマが広い範囲に及ぶなど、例年にも増して2問を選択しづらい設問でした。一方、主に応用能力が問われるII―2や課題解決能力が問われるIIIの論文では、受験者の専門性に配慮して、どの分野でも対応できるような内容となっています。17年度も同様でした。

 ただし、II―1も含めて幅広い知識が求められる傾向は続いています。17年度にII―2で出題されたハザードマップやIIIの働き手の確保と生産性の向上など、時事性の高いテーマも押さえておく必要があります。さらに、17年度のIII―2のように河川、砂防、海岸・海洋のそれぞれの分野に加え、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆるプロセスについて述べるよう求められる設問も想定されます。河川の受験者も含め、自身の専門分野からもう少し範囲を広げて知識を習得しておきましょう。

 出題のテーマは国土交通省のウェブサイトを閲覧し、審議会などで協議されている情報を収集すれば絞り込みやすいでしょう。

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