2017年度の出題形式は13~16年度と同様に、全20問から15問を選んで解答する五肢択一式の形でした。試験時間や合否決定基準も16年度などと同じでしたが、「最も適切なもの」を選ぶ問題は13年度以来、最少の2問でした。

 17年度も過去問題や国土交通白書、時事的な話題、環境やエネルギー、専門用語などから出題されており、出題パターンに大きな変化は見られません。ただし、それらの割合や選択肢の内容が大きく変わりました。16年度にも増して、最新の数値や話題について問われる傾向にあります。

 17年度も過去問題を基にした設問が最も多く、全100の選択肢のうちの約半分を占めています。ただし、過去問題とほぼ同じ内容の選択肢は、3割程度だった16年度から2割に減りました。五つの選択肢のすべてが過去問題と同じ内容の設問はなくなり、後述するI―4のように「i―Construction」といった新しいキーワードを交えて問う形になってきたようです。

 出題のテーマは同じでも内容が大きく変わった選択肢の数は、16年度の1割から約2割に倍増しました。例えばI―3は、16年度までと同様に公共工事の品質確保がテーマですが、各選択肢の内容は一変しました。従来のJIS Q 9001やCM方式などの内容を変更するとともに、新規に作成した選択肢を交えて尋ねています。防災がテーマのI―10も、「避難勧告等に関するガイドライン」や「被災者生活再建支援法」など、それまで見られなかったキーワードを基にした選択肢が過半を占めています。

 過去問題の数値を最新のものに置き換えた選択肢が増えてきたのも17年度の特徴です。14年度の問題を基にしたI―1は、ほとんどが17年1~3月に公表された資料から出題されました。二酸化炭素の排出量がテーマのI―8では、14年度のグラフを17年4月に環境省が発表したデータに更新しています。問題の番号ごとに出題されるテーマは定着してきましたので、過去問題を基に、最新の数値や関連する話題を確認しておきましょう。

 過去問題に次いで多いのが、国土交通白書からの出題です。17年度は全100の選択肢のうち、16年度と同等の3割程度を、過去問題との重複を除くと約2割を占めています。国土交通白書2016の本文だけでなく、参考資料編や欄外の注釈から出題された選択肢も見られました。17年度も、循環型社会の形成をテーマとするI―11で建設廃棄物の再資源化・縮減率について問われたほか、建設投資額や就業者数など、建設産業に関わる数値についても出題されました。いずれも同白書2016に記載されています。過去問題を最新の内容に修正したI―10の洪水ハザードマップの数値なども、問題文に記されているように同白書からの出題です。ただし、16年度までは数値の多寡や増減の傾向を問う内容が中心だったのに対し、17年度はより具体的な値を尋ねる傾向が見られます。白書の本文だけでなく、グラフや表にも目を通し、主な数値や動向を押さえておく必要がありそうです。

 国土交通白書から出題されるのは、数値だけではありません。例えばI―2の官民連携やインフラシステムの海外展開、i―Constructionなどは、問題文の冒頭で述べているように選択肢のすべてが国土交通白書2016に記載されています。I―13の交通やI―14のバリアフリーで示した選択肢の正誤も、ほとんどが同白書から容易に読み取れる内容です。今後も、択一式試験の対策では国土交通白書に目を通しておくことが欠かせません。18年度は同白書2017からの出題が中心になると思われます。

 20問全体に共通しているのは、13~16年度の試験でも見られたように、「最も適切なものはどれか」や「最も不適切なものはどれか」という問い方になっている点です。該当する正解が複数出ないよう配慮されています。17年度は全20問中、18問が「最も不適切なもの」を選択する形でした。一方、残りの「最も適切なもの」を選ぶ設問のうち、1問はグラフから適切な組み合わせを選択する内容で、14年度から同じ形の出題が続いています。いずれも二酸化炭素の排出がテーマです。もう1問は15年度や16年度と同様に、技術系の基本的な用語について尋ねています。

 表3.1は、改正後の13~17年度の択一式で出題された主なテーマやキーワードの傾向を整理したものです。国土交通白書からの出題や過去問題と比較した結果についてもまとめています。過去問題を基にした出題は今後も続くと考えられます。18年度は17年度の問題も対象になる可能性があります。18年度の出題内容を推測するために、以下では17年度に出題された中から主な問題を取り上げ、それぞれについて解説します。まずは16年度までの過去問題を基にした出題から見ていきます。

表3.1 2013~17年度の択一式で出題された主なテーマやキーワード
問題 2017年度
I―1 交通事故就業者数、維持・修繕の割合、訪日外国人旅行者数、貿易収支
I―2 官民連携海外展開メンテナンスi―Constructionインバウンド
I―3 ダンピング、JIS Q 9001、CM方式、コンクリートの品質規定、調査と設計の品質
I―4 新技術活用システムPFIICTの活用、維持管理・更新のトータルコスト、性能規定
I―5 広域地方計画、地域再生法、半島振興法、三大都市圏の整備法、国家戦略特別区域法
I―6 都市再生特別措置法
I―7 環境影響評価法
I―8 我が国の部門別二酸化炭素排出量の推移
I―9 50火山、災害対策基本法、首都直下地震、気候変動の影響への適応計画、仙台宣言
I―10 自主防災組織、ハザードマップ、業務継続計画、避難勧告等に関するガイドライン、被災者生活再建支援法
I―11 再資源化・縮減率、下水汚泥、低炭素型静脈物流促進事業木材の利用建設発生土
I―12 建設投資額、建設業許可、コンセッション方式、売上高営業利益率、建設機械の購入台数
I―13 道の駅整備新幹線LCCクルーズ船、地域の生活交通
I―14 交通政策基本計画バリアフリー法
I―15 防災・減災の情報、Lアラート、データセンター、技術開発、被害の予測
I―16 JIS Q 9000シリーズ
I―17 水力発電、地熱発電、風力発電、バイオマス発電、太陽光発電
I―18 AE剤、静止土圧、圧密、アルキメデスの原理、レイタンス
I―19 単価包括合意方式、グリーンインフラ、ISO55000シリーズ、コンクリートの単位水量、女性技術者・技能者
I―20 コンクリート打設時の材料分離、ネガティブフリクション、LRTインフラメンテナンス国民会議CIM
(注)太字のテーマは国土交通白書からの出題。太字の問題は過去問題と類似、またはほぼ同じ内容の選択肢が半数以上を占める設問。法律名などは略した
表3.1 2013~17年度の択一式で出題された主なテーマやキーワード(続き)
問題 2016年度
I―1 労務単価、女性技術者・技能者、交通事故、労働災害、訪日外国人旅行者数
I―2 幹線道路ETC中央新幹線下水道処理人口普及率首都圏空港
I―3 品確法、JIS Q 9001:2015、CM方式、住宅の品確法
I―4 PFI、性能規定、新技術活用システム、総合評価落札方式、ユニットプライス型積算方式
I―5 国土利用計画
I―6 地域再生法、地域再生基本方針、都市再生基本方針、民間都市再生事業計画
I―7 レッドリスト、絶滅危惧II類
I―8 主要国のCO2排出係数
I―9 活火山法、水防法、総合的な土砂災害対策、首都直下地震、海岸の保全
I―10 耐震化、東日本大震災の災害廃棄物、ハザードマップ、津波防災地域づくり法、広域防災応援協定
I―11 建設リサイクル法、リサイクルポート建設廃棄物、建設発生土、廃掃法、再資源化率
I―12 建設投資額就業者数許可業者数売上高経常利益率就業者の年齢構成生産性の向上海外受注額
I―13 交通政策基本法
I―14 将来推計人口少子高齢化
I―15 情報化施策地理空間情報CIMITSETC2.0
I―16 JIS Q 9000:2015
I―17 メタンハイドレート、中小規模の水力発電、太陽熱エネルギー、温度差エネルギー、CCS技術、太陽光発電
I―18 コンクリートの強度、圧密、ヤング係数、マニングの式、モルタル
I―19 度数率、リスクアセスメント、フライアッシュ、薬液注入工法、トランジットモール
I―20 保水性舗装、コンクリート構造物の照査、GEONET、外国人建設就労者、インフラ長寿命化計画
(注)太字のテーマは国土交通白書からの出題。太字の問題は過去問題と類似、またはほぼ同じ内容の選択肢が半数以上を占める設問。法律名などは略した
表3.1 2013~17年度の択一式で出題された主なテーマやキーワード(続き)
問題 2015年度
I―1 国内貨物輸送量の機関分担率
I―2 国土のグランドデザイン2050
I―3 品確法、CM方式、ISO9001:2008、公共工事標準請負契約約款
I―4 公共事業コスト構造改善プログラム、設計VE、総合コスト改善率
I―5 国土利用計画法、国土形成計画法、三大都市圏の整備法、半島振興法
I―6 都市再生特別措置法、景観法、都市再開発法、密集市街地整備法、都市緑地法
I―7 主要な国や地域の二酸化炭素排出量の推移
I―8 土壌汚染対策法、地球温暖化対策、環境影響評価法、水循環基本法、水質汚濁防止対策
I―9 47火山水防法、大規模災害への対策、南海トラフ地震、仙台宣言
I―10 災害対策基本法、防災、市町村地域防災計画
I―11 下水汚泥、不法投棄、リサイクル、リサイクルポート、建設廃棄物
I―12 許可業者数、就業者数、建設投資額、労働災害、売上高経常利益率
I―13 鉄道の相互直通運転、乗り合いバスの需要、空港へのアクセス、国際コンテナ戦略港湾、整備新幹線
I―14 バリアフリー法、交通政策基本法、ユニバーサルデザイン
I―15 情報化施策ITSスマートウェイ地理空間情報CIM
I―16 国際規格、ISO9000、ISO14000シリーズ、ISO31000、経営事項審査
I―17 調整池式水力発電、コンバインドサイクル発電、加圧水型原子力発電、洋上風力発電、バイオマス発電
I―18 コンクリートの強度、圧密、ヤング係数、マニングの式、モルタル
I―19 粗骨材、スマートコミュニティーMICEインフラのストック効果、施工パッケージ型積算方式
I―20 コールドジョイント、大深度地下、補強土工法、強度率、トラフィカビリティー
(注)太字のテーマは国土交通白書からの出題。太字の問題は過去問題と類似、またはほぼ同じ内容の選択肢が半数以上を占める設問。法律名などは略した
表3.1 2013~17年度の択一式で出題された主なテーマやキーワード(続き)
問題 2014年度
I―1 維持・修繕の割合就業者数交通事故、貿易収支、訪日外国人旅行者数
I―2 社会資本整備に関わった人物
I―3 品確法、CM方式、公共工事標準請負契約約款、ISO9001:2008
I―4 総合コスト改善率、公共事業コスト構造改善プログラム、PFI
I―5 全国総合開発計画
I―6 土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業、新住宅市街地開発事業
I―7 我が国の部門別二酸化炭素排出量の推移
I―8 土壌汚染対策法、地球温暖化対策、環境影響評価法、自動車NOX・PM法、水質汚濁に関する環境基準
I―9 災害対策基本法、防災訓練、ハザードマップ、自主防災組織、横浜戦略
I―10 耐震化、広域防災応援協定、津波防災地域づくり法、ハザードマップ、災害廃棄物
I―11 リサイクルポート建設廃棄物再資源化率、建設リサイクル法、建設発生土
I―12 建設業許可、PFI建設機械の購入台数建設投資額売上高経常利益率
I―13 交通政策基本法
I―14 バリアフリー法、心のバリアフリー、おでかけネット、ユニバーサルデザイン
I―15 電子納品・電子入札光ファイバーITSユニバーサル社会、GIS
I―16 国際規格、ISO9000、ISO14000シリーズ、ISO31000、経営事項審査
I―17 景観法、環境影響評価、ユビキタスネットワーク技術、TDM、ユニットプライス型積算方式
I―18 小規模水力発電、火力発電、原子力発電、地熱発電、波力発電
I―19 コンクリート打設時の分離、ネガティブフリクション、BRTコンセッション方式BIMCIM
I―20 調査基準価格、マグニチュード、プライマリーバランス、特許権の存続期間、ブリーディング
(注)太字のテーマは国土交通白書からの出題。太字の問題は過去問題と類似、またはほぼ同じ内容の選択肢が半数以上を占める設問。法律名などは略した
表3.1 2013~17年度の択一式で出題された主なテーマやキーワード(続き)
問題 2013年度
I―1 交通事故、温室効果ガス許可業者数人口減少海上コンテナ貨物
I―2 社会資本整備重点計画、選択と集中
I―3 VE方式、ISO9001、性能規定、ダンピング受注
I―4 公共事業コスト構造改善プログラム、総合コスト改善率、設計VE
I―5 国土形成計画法、国土利用計画法、豪雪地帯対策、地価の動向
I―6 都市再生基本方針、民間都市再生事業計画、地域再生法
I―7 ISO14001(環境マネジメントシステム)
I―8 レッドリスト、絶滅危惧II類
I―9 ゼロメートル地帯、高潮災害、台風
I―10 災害対策基本法、防災
I―11 3R、グリーン購入法、建設廃棄物再資源化率、下水汚泥
I―12 建設産業、建設投資額許可業者数、雇用・労働条件、売上高営業利益率、異業種JV
I―13 国際コンテナ戦略港湾、鉄道の相互直通運転、整備新幹線乗り合いバスの需要、空港へのアクセス
I―14 バリアフリー法子育て支援テレワーク道路運送法
I―15 地理情報システム(GIS)、標準プロファイル、電子国土Web
I―16 国際規格、土木・建築にかかる設計の基本、包括設計コード
I―17 NPM、TDM、VFM、PI、電子基準点
I―18 新エネルギー法、太陽光発電、風力発電、京都議定書、地熱発電
I―19 フライアッシュ、薬液注入工法、度数率、リスクアセスメント、トランジットモール
I―20 環境ロードプライシング、ユニバーサルデザイン、シックハウス、静脈物流システム、リモートセンシング
(注)太字のテーマは国土交通白書からの出題。太字の問題は過去問題と類似、またはほぼ同じ内容の選択肢が半数以上を占める設問。法律名などは略した

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