米フェイスブック(Facebook)はここ最近、ハードウエア製品の展開を加速させている。

 2019年9月18日にはビデオ通話端末の新モデルを発表した。10インチディスプレー搭載の「Portal」(179米ドル)、8インチディスプレーの「Portal Mini」(129米ドル)、ディスプレーを備えずテレビにつないで利用する「Portal TV」(149米ドル)の3モデルだ。

フェイスブックが2019年9月18日に発表したビデオ通話端末「Portal」の新モデル
(出所:フェイスブック)
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 対話サービス「Messenger」「WhatsApp」のビデオ通話を利用できるほか、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の「Prime Video」や「Spotify」といった各種の動画・音楽コンテンツを利用できる。北米や欧州の一部の国とオーストラリア、ニュージーランドで10月15日から順次出荷を始める予定だ。

眼鏡型端末を開発中、「脳で入力」するUI採用か

 フェイスブックは拡張現実(AR)用の眼鏡型ウエアラブル端末を開発中と報じられているが、買収などを通じてAR端末の基礎技術を着々とそろえつつあるようだ。

 同社は9月23日、ニューラルインターフェース技術を開発する米スタートアップ「CTRLラボス(CTRL-labs)」を買収することで合意したと発表した。この技術を応用すれば、パソコンやスマートフォンなどの電子機器を操作する際、マウスやキーボードなどの入力装置や指によるタッチが不要になるという。

 フェイスブックの本社は米シリコンバレーにあるが、ARや仮想現実(VR)の技術を開発する研究部門「Facebook Reality Labs」はワシントン州シアトル郊外のレドモンドにある。CTRLラボスは今後、この研究部門に加わる。より自然で直感的なユーザーインターフェース(UI)を開発し、消費者向けのハードウエア製品に導入するという。

 フェイスブックのAR・VRの技術部門担当副社長のアンドリュー・ボスワース氏によると、CTRLラボスの技術は次のようなものだという。

 ユーザーがマウスをクリックしたりディスプレーをタップしたりする際、脊髄にある神経細胞が電気信号を手の筋肉に送り、動作するように伝える。この電気信号をリストバンド型の機器で捉え、電子機器の入力信号に変換する。これによりユーザーはわずかに手を動かすか、あるいは「手を動かす」と意図するだけで機器を操作できるという。ボスワース氏はその一例として、写真を友達と共有することもできるようになると説明している。

 フェイスブックはこれまでも「脳で入力」するUIを開発していることを明らかにしている。2017年には、利用者が頭の中で作った文章を読み取ってテキスト入力する技術を開発しているとハードウエア開発部門「Building 8」が発表した。こちらもウエアラブル型のセンサーで情報を読み取る。将来こうした技術が実用化すれば、眼鏡型などのウエアラブル情報機器の入力手段になる可能性があると指摘されている。

 米CNBCによると、フェイスブックでは前述したAR・VR研究部門で眼鏡型ウエアラブル端末を開発中。これは社内で「オリオン(Orion)」と呼んでいる開発プロジェクトで、スマートフォンに取って代わる次世代の情報機器として開発を進めているという。「Ray-Ban(レイバン)」や「Oakley(オークリー)」といった数多くのアイウエア(眼鏡、サングラス、ゴーグル)ブランドを傘下に持つイタリアのルックスオティカグループと提携し、2023~2025年の製品化を目指している。

 関係者によると、研究者らは現在、端末の小型化に取り組んでいる。スケジュールどおり製品化にこぎ着けられるかどうかは分からないが、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が強い関心を持っており、開発責任者に対し優先的に取り組むよう指示している。

 ただ、フェイスブックはハードウエアをあくまでも主力のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)事業における戦略の一環と考えているとCNBCは報じている。ボスワース氏へのインタビューによると、開発中の眼鏡型ウエアラブル機器は交流を目的とした製品になるという。「当社は人々を結び付けるためにAR眼鏡をどう生かせるかを念頭に置いており、製品そのものに重きを置く他社とは取り組み方が違う」(同氏)。

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