スマートフォンを車載機のディスプレーを介して利用することを「スマートフォンミラーリング」と呼ぶが、シンガポールに本部を置く市場調査会社Canalys(カナリス)によると、今や世界の多くの自動車メーカーがこれを採用しているという。

 スマートフォンミラーリングを実現するのが、米Google(グーグル)の「Android Auto」と米Apple(アップル)の「CarPlay」だ。いずれもスマートフォンをUSBケーブルで車内のコネクターに接続すると、車載機のディスプレーにスマートフォンの画面が表示される機能だ。

 利用できるアプリは、地図や電話、メッセージ、音楽、オーディオブックなどで、利用者がスマートフォンに入れているアプリの中のほんの一部に限られる。とはいえ、利用者が普段使い慣れているアプリをより大きなディスプレーで利用できるようになる利点は大きい。車載機のコントローラーや画面タッチで操作でき、音声アシスタントも使える。このため運転中であっても安全にスマートフォンを利用できる。

スマホ普及の影響、車載インフォテインメントにも

 欧州や米国ではスマートフォンミラーリングが広く普及しつつある。Canalysによると、欧州では2018年1~3月に販売された新車のうち、Android AutoとCarPlayのいずれか、あるいは、いずれにも対応する車の比率が46%になった。この比率は米国では52%となる。また2018年1~3月の期間、欧州では仏グループPSA(旧プジョーシトロエングループ)、独Volkswagen(フォルクスワーゲン)、米Ford Motor(フォード・モーター)が、GoogleとAppleのミラーリング機能に対応する車を多く販売した。米国で対応車種を多く販売したメーカーはGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)、Ford Motor、ホンダの3社だった。

 こうした大手自動車メーカーの動向について、Canalysは「GoogleとAppleのスマートフォンミラーリングは、今や、メーカーが市場投入する車の主要機能になった」と指摘。Appleも先ごろ、CarPlayに対応する車種が400種を超えたと発表した。

2社による市場支配が背景に

 欧州のスマートフォン利用者のうち、Android端末を利用する人の割合は78%に上り、iOS端末(iPhone)利用者は20%にとどまる。米国ではAndroidが56%、iOSが43%。いずれの市場も両OSを合わせたシェアはほぼ100%だ。自動車メーカーがこぞってGoogleとAppleのスマートフォンミラーリングを採用する背景には、こうした両OSの市場支配がある。

 そしてCanalysは、スマートフォンミラーリングと自動車用音声アシスタントは今後急速に進化すると予測している。AI(人工知能)を搭載する音声アシスタントは将来、より柔軟に運転者と同乗者に対応し、人々の要求を予測するようにもなるとしている。

 自動車メーカーも、車載インフォテインメントシステムやコネクテッドカーの開発を進めており、すでにさまざまなサービスを提供している。しかしCanalysによると、GoogleやAppleなどのテクノロジー大手は、自動車メーカーとは異なるスピードで技術開発を進めている。このため今後も、GoogleやApple、あるいは米Amazon.com(アマゾン・ドットコム)とパートナーシップを組む自動車メーカーは増えていくとCanalysは指摘している。

デジタルカメラを凌駕

 スマートフォンの普及はデジタルカメラ市場に多大な影響を及ぼしたと指摘されており、今後同様のことが車載インフォテインメントの分野で起こる可能性がある。カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、世界のデジタルカメラ出荷台数は2010年の1億2150万台をピークに右肩下がりで推移している。2017年の出荷台数は2500万台でようやく減少に歯止めがかかったが、市場規模はピーク時の2割程度に縮小している。

 また写真共有サービスのFlickr(フリッカー)のレポートによると、2017年に同社サービスに投稿された写真のうち、スマートフォンで撮影された写真は全体の50%に上った。スマートフォンの比率は前年の48%から2ポイント上昇。これに対してコンパクトデジタルカメラは前年の21%から12%へと低下した。

デジタルカメラの出荷台数推移
(出典:CIPA/ドイツStatista
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら