米Apple(アップル)は2019年3月25日、カリフォルニア州クパチーノ本社の「スティーブ・ジョブズ・シアター」で特別イベントを開催し、一連のデジタルコンテンツ配信サービスを発表した。映像ストリーミングサービス「Apple TV+」、雑誌・新聞コンテンツ配信サービス「Apple News+」、そしてゲーム配信サービス「Apple Arcade」。これらは、いずれも同社の新たなサブスクリプション(定額制)サービスだ。

 売上高の6割を占める「iPhone」の販売が頭打ちになる中、同社はサービス事業の強化を図っており、年間の事業売上高を2020年までに500億ドル(約5兆5000億円)に拡大したい考え。そうした中、サブスクリプションの市場はスマートフォンとは異なり、十分に成長の余地があると言われている。

映像のサブスク、規模は巨大だが競合がひしめき合う市場

 例えばドイツの統計会社Statista(スタティスタ)によると、映像サブスクリプションサービスの利用者数が最も多い米州でも、普及率はまだ40%にとどまる。その次に利用者数が多い欧州はほぼ20%、アジアではまだ十数パーセントという状況だ。

世界の地域別映像サブスクリプションサービス利用者数予測
(出典:ドイツstatista
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 映像コンテンツ・機器メーカーの業界団体DEG(デジタル・エンターテイメント・グループ)の調査リポートによると、2018年の米国における「映像サブスクリプションサービス」の売上高は129億1000万ドル(約1兆4000億円)に上った。これに対し、「DVD/ブルーレイソフト販売」の売上高は、その3分の1以下の40億3000万ドル。前者が前年比で30%増加したのに対し、後者は同15%減少した。

 米国ホームエンターテインメントコンテンツ市場で、その次に売上高が高かったのは「オンデマンド販売」(24億6000万ドル)と「オンデマンドレンタル」(20億9000万ドル)。そして、「DVD/ブルーレイのレンタル」(自販機型/定額制郵送型/店舗型)は17億8500万ドルだった。

米国ホームエンターテインメント市場2018年の媒体別売上高
(インフォグラフィックス出典:ドイツstatista
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 映像サブスクリプション、オンデマンド販売、オンデマンドレンタルから成る「デジタル配信」は2017年に、初めて米国の映画館興行収入を超えた。2018年はその差がさらに広がり、映像サブスクリプションの売上高だけで映画館興行収入(119億9000万ドル、1兆3000億円)を上回った。

 同国の映像産業は今後もホームエンターテインメント市場に支えられ成長していくと見られている。その中心的な役割を果たすのが、Appleが新規参入するサブスクリプションサービスだ。

関連リンク:DEG(PDF書類)

 ただし、この市場は競争が激化している。すでに米Netflix(ネットフリックス)、米Hulu(フールー)、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)といった大手が成功を収めているが、2019年は米娯楽大手のWalt Disney(ウォルト・ディズニー)や米通信大手AT&Tの傘下に入ったWarner Media(ワーナーメディア、旧Time Warner)も参入する。米ケーブルテレビ大手Comcast(コムキャスト)傘下のメディア企業、NBCUniversal(NBCユニバーサル)も、2020年にサービスを開始する計画と伝えられている。

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