2018年3月、米アップル(Apple)は同社らしからぬ行動を取った。雑誌の定額制読み放題アプリを手がける米ネクスト・イシュー・メディア(Next Issue Media)という企業を買収すると発表したのだ。

 Appleは企業を買収する際、メディアなどの取材に対して「我々は時折、規模の小さな技術企業を買収するが、多くの場合その目的や計画については述べない」と回答するにとどめることが常。今回のように発表資料までも出して、買収の事実を明らかにするのは珍しい。

 その狙いは明らかになっていないが、英Financial Timesは、Appleは今回買収するサービスやコンテンツを同社の「News」アプリに統合するようだと伝えている。

 Appleのインターネットソフトウエア&サービス担当上級バイスプレジデントのEddy Cue氏も、発表資料の中で「我々は、信頼のおける情報源から提供される、品質の高いジャーナリズムに全力で取り組んでいく」などとコメントしている。このNewsアプリは、2015年にiOSの標準アプリとして提供を開始したもの。ただ、現在提供されているのは米国、英国、オーストラリアの3カ国のみで、日本ではウィジェットだけが利用可能になっている。

 Appleが買収したNext Issue Mediaは、「Texture(テクスチャー)」というアプリを手がけている企業だ。このアプリはAppleやGoogleのアプリ配信サービスで無料配信されており、月額9.99ドルを支払えば「Time」や「People」「Forbes」「Newsweek」「New Yorker」「National Geographic」「VOGUE」など200以上の雑誌が読み放題になる。

 興味深いのは、このNext Issue Mediaが米メレディス(Meredith)や米ハースト(Hearst)、米ニューズ・コーポレーション(News Corporation)、米コンデナスト(Conde Nast)といった大手出版社の合弁事業であることだ。米Wall Street Journalは、その設立目的はAppleや米グーグル(Google)、米フェイスブック(Facebook)といった巨大テクノロジー企業に対抗することだったと伝えている。

 Appleはこの買収を通じ、急成長しているサービス事業をさらに強化したい考えだ。同社のサービス事業には「Apple Music」「Apple Pay」「iTunes」「App Store」などが含まれるが、2017年9月末までの2017会計年度における売上高は300億ドル(約3兆1880億円)。パソコンのMacやiPadのそれを上回り、iPhoneに次ぐ大きな事業へと成長している(図1)。Wall Street Journalによると、Appleはこの事業を2020年までに400億ドル(約4兆2500億円)超の規模に拡大する目標を掲げている。

図1 Appleの事業別売上高推移(iPhoneを除く)
インフォグラフィックス出典:ドイツStatista
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