10月30日、面識のない方から過去の記事について問い合わせの電話がかかってきた。10年ほど前に書いた拙文の中に引用した知り合いの発言についてである。発言に出てきた内容の時期と経緯を確かめたいと頼まれたが困った。知り合いは亡くなっていたからだ。

 それでも問い合わせに何とか答えたいと思い、少し時間をいただきたいと言って電話を切った。あるIT用語がいつ日本語に訳されたのか、なぜそう訳したのかを電話をかけてきた人は調べている。訳語の語源を探るため明治時代の文献にまで遡って確認したそうだ。

 そのIT用語の日本語訳については筆者も関心があった。だからこそ亡くなった方と話し合い、彼の意見を記事に引用した。これを機会にもう一度相談したいが不可能である。どうしたものか。

最後のメールと訃報を目視で検索する

 お別れ会に参加した方々に聞けば何か分かるかもしれないと思いつき、電子メールを検索しようとしたがなぜか検索機能が働かない。むっとしつつ過去の電子メールに直接当たることにした。

 電子メールの受信画面を延々スクロールして過去のメールがあるあたりに移動し、目当てのメールを探した。亡くなったのはいつだったろう。3年か4年前だったのではないか。

 4年前のメール群を延々見ていくと亡くなった方が送ってくれたメールが出てきた。ある件についてこちらから質問し、それに答えてくださったものである。その方はテクノロジーの動向に詳しく、何か記事を書こうとしたとき、よく相談していた。

 メールに書かれた丁重な解説を久しぶりに読み、問い合わせた件についてしばし考え込んでしまった。いや、この話ではなかったと我に返り、メール探しを再開した。4年前に健在であったということはもっと後なのか。

 大量のメールを目視し、その中から訃報を探し出すのは何とも言えない体験であった。スクロールを続けていると亡くなられた方が最後に送ってきたメールが出てきた。ある病にかかり治療を続けているが苦しいという文面で再読して涙こそ出なかったものの悲しかった。

 1時間以上もスクロールを続け、訃報のメールを発見できた。最後のメールから3カ月後であった。亡くなってからまだ2年しかたっていないことが分かって自分の記憶力の無さにあきれた。続いてお別れ会の出席者のメールアドレスを見つけ、連絡した。

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