「ExcelとRPAを止めれば生産性が上がる、ご冗談でしょう」

 知り合いのエンジニアが拙文を読み、むっとしてしまい、メールを送ってきた。

 8月9日付本欄に、ExcelとRPAについて「いずれもシステムとは言い難い。ここでシステムとは、ある程度広範囲の部門にまたがる仕組みとそれを支える情報提供を指し、特定の人に頼らず、ほぼ自動で処理できるものとする」と書いた。この「Excelよりシステム」という主張が彼を刺激したらしい。

 「システムの導入で効率が上がったなんて話は聞いたことが無い。CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)システムで顧客を管理でき、営業効率が上がったなんて話も聞いたことが無い」

 相当な剣幕である。なぜCRMが突然出てくるのか。彼の勤務先がCRMを更新したが、とても使いにくいシステムになってしまい、仕事に支障を来たしているという。

 なぜ使いにくいのか。彼がいる現場のことを考えて設計されていないからである。

 「そもそも経営陣と現場で必要とする情報は違う。情報を必要とするタイミングも違う。システムの発注者は経営側に立っているから、システムは経営陣に便利な建付けになる。現場を知らない浮き世離れした人ほど、上に提出する格好良いレポートの材料を欲しがる。だが、そんな情報は現場では何の役にも立たない」

使いにくい上によく止まる

 彼はエンジニアでありITにも詳しいが勤務先の事業現場で働いている。情報システム部門あるいはシステム開発会社に所属して企業情報システムの仕事をしているわけではない。

 その使いにくいシステムはよく止まる。

 「木造のオンボロ旅館に最新のオフィスビルを増設し、行き来をしようとしても土台無理。農道に高速道路をつないで渋滞や事故が起きないわけがない。このメールを書いている今もまた、システムがフリーズしている。まったく違うものを連結してデータを無理に同期させようとするから頻繁にトラブルが起きて当たり前」

 止まったシステムは動かさなければならないし、直さなければならない。

 「システムが更新されるたびに肥大化し、お守りをする人が増えていく。8人だったシステム部門は今では16人になった。新システムを入れたことで現場だけではなく会社全体としても生産性が下がっている。儲かるのはシステム開発会社だけ」

 同社を担当しているシステム開発会社は経営陣や情報システム部門の覚えがめでたいそうだが、彼は「システム屋」と呼び、辛辣なことを書く。

 「発注者から言われた通りに作っていれば仕事は終わること無く続き、儲かり続ける。効率の悪いシステムを開発すれば人がかえって増え、システムのユーザー数も増える。ユーザー数と月々のライセンス料を掛け算してみたが、これは笑いが止まらないだろうと思った。システム屋はシステム開発に本来必要な事項を経営陣にレクチャーすることなく、経営陣を喰い物にしている」

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