「問題点も解決策も何年も前から指摘されているのに、なぜ日本の企業は変わらないのでしょうか」

 ある勉強会の出席者からこう質問された。「変わろうとする気がないから」と答えようかと思ったがあんまりなので黙っていた。

 「本当に変えたいのかどうか、よく分かりませんでした」

 別の勉強会で出席者がつぶやいた。業務改革プロジェクトに関わっていたが、方針がはっきりせずほとんど何も進まなかったそうだ。

 二人の発言をきっかけに別の知り合いが参加している事業開発プロジェクトが頭に浮かんだ。もう6年近く悪戦苦闘しているが、出口は見えないままだ。

 日本企業の多くは国際競争力が乏しく、日本は危機的な状況にあり、変わらなければ生き残れない。こうした指摘をインターネット、新聞、雑誌、テレビで見聞きする。日経 xTECHにもそういう記事がしばしば載る。

 それにもかかわらず、日本企業は変わろうとしない。この指摘も日経 xTECHを含む様々なメディアで報じられている。

 なぜ変わらないのか。その理由もまたあちこちのメディアで論じられてきたが勉強会をきっかけに、最近見聞きしたプロジェクトを題材にして少し考えてみたのでお伝えする。

変わろうとする気がない

 それを言っては終わりという気がするが、やはり「変わろうとする気がない」。日本企業の社長は数年で交代するから数年だけ社長を大過なく務めたい。思い切って何かを変えようとしても結果が出る頃に自分は責任者の立場にいない。

 前向きな社長が就任したとしても役員陣が変わりたくない。社長が「変えよう」と言い出せば「変えましょう」と即答するものの、自分が担当している仕事や部門は変えたくない。

 社員は現状の仕事をこなすことで忙しく、大きく変えたほうがよいと思っても変えるために何かをする余裕がない。目の前の仕事について言えば、数字を伸ばすためにあれこれ工夫しており何も変えていないわけではない。

 「変わろうとする気がない」のは自社だけではない。監督官庁が方針や規制を変えてくれないと仕事は変わらない。親会社の経営陣に残れなかった人を子会社の経営陣に送りこむ人事を止めてくれないと子会社は変わらない。取引先が商慣行を変えてくれない以上、勝手に変わるわけにはいかない。

 このままでは話が終わってしまう。「変わろうとする気がない」一方で「変わらないとまずい」と感じていることにする。そこで何らかの手を打とうと改革プロジェクトのような活動を始める。だが大きくは何も変わらない。理由はいくつかある。

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