そんな言葉は流行らないと自分で決め付けた言葉が当たり前のように使われることがある。最近では「MaaS(Mobility as a Service)」がそうだ。Webや雑誌、新聞を眺めているとかなり使われている。

 年をとったせいか新語に出くわすと定義が気になって仕方がない。用語の混乱こそ諸悪の根源と確信しているものの、言葉の定義にこだわっていると新語が表現しようとしている何かがどう新しいのか、それを確かめるところまで行き着かなくなる。

 困ったことにMaaSはモビリティーをサービスとして提供する話らしく、体験しようとすると自ら移動しなければならない。だが旅行はさほど好きではないし、自動車の運転免許も持っていない。この10年ほど国内外を含めて出張は全くと言ってよいくらいしていない。

 だからと言って、最新の動向らしいMaaSが分からないままでよいのかと気にしていたところ、知り合いにMaaSを体験してもらうことができた。知り合いの報告に基づき、MaaSを一切体験せずにMaaSについて書いてみる。

「Izuko、使ってみたいです」

 2019年4月23日、「MaaSインパクト-交通や観光がスマホやAIでシームレスに繋がる数十年に一度の大変革期をどう生かす? あなたなら新ビジネスでどう解決?」という題名のパネルディスカッションを聞いた。

 これは「日経BP創立50周年記念フォーラム 新たな世界を切り拓くテック&トレンド」という催しの1コマで、読者の方向けであったが、MaaSに関心があったため参加した。

 パネルディスカッションでは東京急行電鉄とジェイアール東日本企画の幹部が登壇し、伊豆で始まったMaaSの実証実験が説明された。「Izuko」と呼ぶスマートフォンのアプリケーションを使うと、伊豆における鉄道、バス、レンタカー、そしてオンデマンド型のジャンボタクシーといった交通機関をシームレスに利用できるという。

 興味を抱いたものの、体験しないと意味がよく分からないと感じた。だが残念ながら伊豆に行く予定は無い。取材もできない。そんなことを考えていたら、隣に座っていた知り合いが「ゴールデンウイークに伊豆旅行をしようかと娘と話していたところです。Izuko、使ってみたいです」と言い出した。

 ここ数年、「人を見たら文章を書いて、と言ってみる」という方針で活動しているので「体験記を送ってもらえますか」と頼み、快諾してもらった。彼女が書いてくれたメモを紹介しつつ「MaaSインパクト」を考えてみたい。

「ピンクの富士山のロゴがかわいいです」

 「便利でお得が大好きなので早速、Izukoアプリをインストールしました。ピンクの富士山のロゴがかわいいです。『ようこそyumiさん』と対応してくれ、親しみがわきます。操作しようとしたら『お近くに駅がございません』と表示され、使えませんでした。伊豆の中部と南部にしか対応していないのですね」

 出発前から彼女は張り切っていた。こちらは面倒なのでスマートフォンにダウンロードしなかったが、PCからIzukoのWebサイトを見てみると確かに桃色が使われていた。どれが富士山かすぐには分からなかったが、数十秒にらんでいるうちにようやく認識できた。デジタルリテラシー以前に視覚が衰えている。

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