大手ITベンダーの新規事業の取り組みを「共創」の観点から深掘りする共創十番勝負の野村総合研究所(NRI)編。第3回はこれまでの5社と同様、「極言暴論」の木村岳史がNRIの取り組みを辛口に斬る。まずは、以前聞いた技術者の嘆きの言葉から書き起こそう。

 「ガチガチに管理されていて新しい事が何もできない。赤字プロジェクトのいったい何が悪いのか。新しい事にチャレンジするには、ある程度リスクを取らなければならないはずなのに!」。デジタルブームのはるか前の話だが、NRIの技術者と酒を飲んだとき、その技術者は酔いに任せてそんな“暴論”を吐いた。そんなガチガチのNRIに、デジタルの時代を乗り切れるのだろうか。

 実はNRIを外から眺めるだけだと、逆の印象を受ける。SIerと呼ばれる日本の大手ITベンダーの中でも、デジタルの時代に最も容易に対応できる企業のように見えるのだ。SIという人月商売だけでなく、コンサルティングやリサーチの強力な部隊を持ち、証券会社向けのバックオフィスシステムをSTARというプラットフォームとして提供することに成功しているからだ。

 これからのデジタルの時代に、ITベンダーがSIなどの労働集約型ビジネスに明け暮れていては先が無いのは明らかだ。問題はどんなビジネスを目指すべきなのかだが、今のところ見えているモデルは2つ。1つはグーグルやアマゾン・ドット・コムのようなクラウドベースのサービス提供、いわゆるプラットフォーマーのビジネスだ。もう1つはアクセンチュアのようにコンサルティング起点のビジネス。NRIはその両方を持つ。

 だが従来のNRIは、組織体制の面でも企業文化の面でも、デジタルの時代に対応できているとは言いがたかった。NRIの名の下にコンサルティングファームとSIerという2つの会社が並存するような状態がずっと続いてきた。しかも、特にSIerであるNRIのソリューション部門では、冒頭の技術者の嘆きのように厳格なガバナンスを敷いていた。つまり、リスクの高い大規模SIビジネスに最適化されていたのだ。

 NRIの経営陣もさすがに「このままじゃマズイ」と認識しているようだ。ユーザー企業と共に新しいビジネスやサービスを創る共創の事例として、NRIが「どこかにマイル」をイチオシしてきたのも、その危機感の表れと受け取った。「どこかにマイル」はコンサルティング部門とソリューション部門の壁を超えた取り組みであり、「従来のNRIには似つかわしくないような“軽いノリ”のプロジェクト」(立松博史執行役員)だからだ。

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