キーボードを見ながらタイプするスタイルの場合、表示しているキーレイアウトと、タップする場所で認識する最適化した仮想レイアウトの違和感を解消するため、リアルタイムでレイアウトを切り替えるようにした。その結果、同様のユーザーテストにおいてタイピング生産性が「物理キーボードと比べて22%向上した」(戸田氏)という。

100人近いユーザーテストで新しいE Inkキーボードで22%のタイピング生産性の向上が確認できた。戸田氏は、学習機能を持つが入力履歴は保存しないためキーロガーのリスクはないと説明する
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 戸田氏は、タイピング生産性を向上させるもう一つの手法として「クロスモーダル・フィードバック」を紹介した。クロスモーダル・フィードバックは、異なる複数の刺激を感じさせることで、そこには存在しないものを存在するかのように認識させる手法だ。

 戸田氏は、E Inkキーボードでキーをタイプした感触を得るために、タイプしたキーが押下するアニメーションを表示する「仮想3Dアニメーション」、タップに合わせて発するタイプ音、E Inkパネル表面の振動の3要素を組み合わせた。先に紹介した専用ハードと新設計のソフトにより、フィードバックを最適化できたという。

視覚、触覚、聴覚の「複合錯覚」で物理キーボードをタイプしているように思わせる「クロスモーダル・フィードバック」もタイピング生産性の向上に貢献している
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 戸田氏は当初3Dアニメーションによる効果は期待していなかったが、ノートPCでタイプする姿勢におけるキーボードに対する視線を考慮したアニメーションの最適化を進めたところ、意外とタイプした感覚を得る効果があると分かった。ユーザーテストでもタッチタイピングによるタイプスピードが向上し、初期のプロトタイプと比べてタイピング生産性が5.8%向上した結果が得られたという。

 タイプ音についても、音色のチューニングと併せて遅延(キーの文字がディスプレーに表示されたタイミングからの遅延を指す)を1ミリ秒以下に抑えたこと、音の長さを最適化することで起こる「錯聴」(聴覚における錯覚のこと)の研究の成果を導入することで、プロトタイプとの比較でタイピング生産性が7.3%向上したとのテスト結果を示した。

 戸田氏は、Yoga Book C930でのキーボードとタッチパッドの機能拡張についても紹介した。キーボードの機能拡張では、Yoga Book搭載E Inkキーボードと同じ「クラシックキーレイアウト」の他に「モダンレイアウト」を追加した。モダンレイアウトでは、最適値に近いキーピッチを横方向だけでなく縦方向でも実現することと、タッチパッドの領域を旧Yoga Bookから14%拡大することを、現れたり消えたりするタッチパッドにすることで両立した。