「いま一番欲しいものは何ですか?」。Twitter(ツイッター)でこんな質問が書かれた青緑色の枠に囲まれたサムネイルを見たことはないだろうか。これは、いろんな人から自分への質問を受け付け回答するサービス「Peing(ペイング)-質問箱-」に寄せられた質問の例だ。2017年11月に個人の開発者がローンチし、現在はベンチャー企業のジラフが運営している。

Peingに届いた質問への回答をシェアしているツイート
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 使い方は簡単だ。Peingアカウントを作成し、質問受け付け用のリンクを自分のSNSのプロフィル欄などに記載して不特定の人からの質問を待つ。質問が来たら回答してSNSでシェアする。質問者は必ず匿名になり、質問者が誰であるか回答者にもシェアされた質問と回答を見た人にも分からない。

 サービス開始当初は、著名人がファンから質問を受け付けるために使っていた。その後、普通の人も不特定の人から質問を受け付けるために使うようになった。

 特に若い世代がこのサービスを支持している。マイナビが発表した「2018年版10代女子が選ぶトレンドランキング」の「流行ったコト」では9位、若者向けマーケティング企業のAMFによる「2018年上半期のJC・JK流行語大賞」の「アプリ部門」で3位だった。2019年1月には情報漏洩騒動があったが、Peingは高校生を中心に定番の人気サービスになっている。

自然に自分語りができる

 なぜ質問を受け付けるサービスが人気を得ているのか。実際の使われ方を見ると、若者が持つ2つの欲求に応えているようだ。

 1つはSNSで暇をつぶしたいという欲求を満たすためだ。特に話題もなくコミュニケーションをする目的でPeingを使っている様子をよく見かける。

 例えば「昨日おにぎり食べてましたよね?」という匿名の質問に対して「なんで知ってるの。誰?w」と回答する。これはツイッターを使っている若者のタイムラインによくある光景だ。匿名で寄せられた質問への回答をコミュニケーションの1つとして楽しんでいる。

 もう1つは、自分が経験した出来事や考えを語る「自分語り」をしたいという欲求を満たすためだ。自分について話したいという欲求は多くの人が持っているだろう。

 しかし多くの若者は「自分語りは恥ずかしい」という認識を持っている。特にSNSで唐突に自分語りを始めるのは、格好悪い行動と捉えられている。

 そこでPeingの出番である。聞かれたから答えるという体裁ならば、恥ずかしい自分語りとならずに済む。

 しかも質問への回答という形を取ると「自分が誰かから関心を持たれている」という状況が生まれる。これは「いいね」とはまた別の承認欲求を満たす。

 ここで「質問されたい人ばかりが使うので、質問する人が足りないのでは」と思うかもしれない。実際、その通りになっているのが現状だ。質問したい人より質問されたい人の方が多く、SNSは質問の供給不足に陥っている。

 ギャップを埋めるためか、Peingは運営チームが各ユーザーに対してときどき質問を送っている。意地悪な言い方をすると“サクラ”の質問で、ジラフはこの仕組みを公表している。それでも匿名での質問になるため、運営からの質問かどうかは明確になりにくく、質問されたい若者たちのニーズにある程度応えられるようだ。