「り」「マ?」「マジ卍(マンジ)」――。何のことかご存じだろうか。2017年ごろに女子高生や女子大生のSNS投稿で流行した言葉だ。「り」は「了解」を、「マ?」は「マジで?」を意味する。「マジ卍」は感情の高ぶりを表す言葉で意味はない。大人には理解不能で話題を呼んだ。

 「り」と「マ?」は今も使われているが、「マジ卍」は死語となった。SNSで見かける機会はほとんどなくなっている。

 いつの時代も若者言葉はあっという間に流行し、瞬く間に廃れる。昭和に流行した「ナウい」「花金」「マブダチ」といった言葉もそうだっただろう。今と昔の違いは、SNSが流行に大きく影響することだ。

 2019年6月から7月にかけて、マイナビと若者向けマーケティング企業のAMFがそれぞれ2019年上半期の若者流行語ランキング調査を発表した。過去のデータも振り返りつつ、流行語から若者SNS文化のトレンドを分析しよう。なお今回は流行しているモノやコトも流行語と捉えて紹介する。

流行を読み解く鍵はインスタの「動画映え」

 流行を読み解く鍵となるのが、米フェイスブック(Facebook)が提供する画像共有SNS「Instagram(インスタグラム)」だ。ここ数年、女子中高生や大学生に最も使われ、影響力のあるSNSとなっている。

 2019年上半期の流行語では、マイナビ、AMFの両方の調査で流行語の2位になった「KP(ケーピー)」が今の若者SNS文化を象徴している。意味は「乾杯」である。女子中高生は友人と集まったら「KP!」と叫びながらタピオカドリンクなどで乾杯する動画を撮影し、インスタグラムに投稿する。お決まりのせりふや動きを付ける場合もある。

友人と集まったら「KP!」と叫びながらタピオカドリンクなどで乾杯する動画を撮影して投稿する
(出所:PIXTA)
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 大人世代は聞いたことがない言葉かもしれないが、KPという流行語にはここ数年のSNSのトレンドが凝縮されている。

 2017年には「インスタ映え」がユーキャン新語・流行語大賞となった。カラフルなスイーツやナイトプールなど、非日常の「映える」モノが流行った。辛いチキンとチーズを使った韓国料理の「チーズタッカルビ」もその1つ。インスタグラムには、持ち上げたチキンにチーズが絡みつく様子を映した写真が多数投稿された。

 2018年には同じく韓国料理の「チーズハットグ」が流行した。チーズタッカルビから続く韓国料理ブームとも捉えられるが、「写真映え」から「動画映え」へ意識が変わったという捉え方もできる。インスタグラムでは、チーズハットグにかぶりつき、とろけたチーズが伸びる様子を写した動画の投稿が増えた。

 背景にはインスタグラムの「ストーリーズ」という機能が盛んに使われるようになったことが挙げられる。ストーリーズは簡単にショートムービーを作成して投稿できる機能で、投稿は24時間で消滅する。動画を共有する技術的・心理的なハードルが下がり、SNSで動画を共有して楽しむ若者が増えた。

 大人気のタピオカドリンクを手に友人たちと「映える動画」を作ってインスタグラムに投稿したい――。こういう若者の気持ちから生まれたのが、2019年上半期の流行語「KP」なのだろう。