ソフトバンクから「Pepper」を託される

 パチパチクラッピーを世に送り出した高橋社長は、「商品にはキャラクター性が重要。そのキャラクターを生かすには人とのインタラクションが必要。それを実現するにはロボットしかない」と思い至り、ロボットの開発を始めた。とはいえ開発資金やロボットに関する知識や経験が、圧倒的に不足していた。

 そして再び、次なる大きな幸運が舞い込んでくる。

 ヒト型ロボット「Pepper」の発売を控えたソフトバンクから、「日本のカルチャーに合うようPepperのキャラクターを面白くしてほしい」と吉本に依頼があった。そこで吉本はデジタルとエンタメを両立できる高橋社長に白羽の矢を立て、Pepperの発表と同時期の2014年6月に発足した「よしもとロボット研究所」のチーフクリエイターに据えたのだ。エンタメ性の強い、より大型のロボットを作りたいと考えていた高橋社長にとって、ソフトバンクからの申し出はまさに“渡りに船”だったに違いない。

 高橋社長は、話し方や動き方などさまざまな角度からPepperのUX(ユーザー体験)に手を加えた。セリフのイントネーションや、話す際の微妙な間、コミカルな体の動かし方をはじめ、Pepperのキャラクターがより明るく面白くなるようどんどん変えていった。そこに高橋社長はNSCでコントを作りながら身に付けたエンタメスキルを惜しみなく注ぎ込んだ。

インターネット番組「バイバイワールドのオールナイトニッポンw」では自身も出演し、Pepperの性能をアピールした。この日は最終回で伝言ゲームをして2台のPepperがきちんと複雑な言葉を伝えられるか実験した

 Pepperの仕事を通じて「人とロボットのコミュニケーションの方法など、さまざまなロボットユーザー体験の知見を得ることができた」と振り返る高橋社長。さらにチーフクリエイターとしての報酬によって開発資金にめどが立ったこともあり、本格的にビッグクラッピーの開発に取り掛かった。