声の掛け方はいろいろありますが、ここでは代表例として以下の4つを考えてみましょう。

  • 1.「今、忙しいからやめてくれない?」とはっきり伝えてBさんの話をやめさせる。
  • 2. 目を合わせないでうなずきながら、「はあ、仕事が進まないなあ」とBさんに聞こえるようにつぶやく。
  • 3. 「早く終わってくれないかな」と思いながらも、話が終わるまで聞き続ける。
  • 4. 「ごめん、今、仕事に集中したいんだ。お昼休みにまた話そうよ」とBさんの顔を見て伝える。

 仕事に集中したいとき、仕事に関係のない話で中断されるのは困ります。1.のようにはっきり伝えれば、話は切り上げられるでしょう。

 しかし言われた側のBさんは、どう思うでしょうか。AさんとBさんが十分に気心が知れた関係ならば問題ないかもしれませんが、そうでなければ、自分が拒絶されたと感じてしまいそうです。その後、BさんはAさんに声を掛けにくくなってしまうかもしれません。

 自分の要望を直接言うのでなく、遠回しに伝えようとしているのが2.です。今は仕事に集中したいということを言葉や態度で示そうとしていますが、Bさんがそれに気づいてくれるとは限りません。Bさんが気づいた場合も、Aさんから嫌みを言われたような気分になるかもしれません。

 3.なら、Bさんは気分を害さないでしょう。しかし、Aさんのイライラが募ります。Bさんの話に時間が取られ、仕事が締め切りに間に合わなかったとしたら、恨めしい感情が残りそうです。その後の二人の関係にも影響を及ぼすでしょう。

 4.はどうでしょうか。まずお詫びの言葉とともに、「自分は今、仕事に集中したい」ということを率直に知らせています。その上で、「お昼休みに話そう」と言うことで、「Bさんと話したい気持ちがあること、昼休みなら時間が取れること」を伝えています。Bさんに拒絶感を与えることを避けられますし、Aさんもイライラを感じることなく仕事に集中できます。昼休みには、作業を終えてすっきりとした精神状態で、Bさんと会話を楽しめるでしょう。

 このように、より良い人間関係を築くには、自分と相手の主張や立場を尊重したコミュニケーションが重要です。一方的に自分の主張を伝えたり、自分だけが我慢したりしては、ストレスが増してしまいます。

 相手を尊重しつつ、自分の意見や要求、感情を率直に、誠実に、対等に伝える。こうしたコミュニケーション手法を、「アサーティブ・コミュニケーション」と呼びます。アサーティブ・コミュニケーションのスキルを身に付ければ、職場はもちろん、プライベートでも有効に活用できます。