人間の本能が技術に追いつけていない

 ひとたび炎上が起きると、ネットはその話題で持ち切りになります。同じ話題についてさまざまな人たちが意見を論じ、批判を繰り返しているのを目にすることになります。しかし、文化庁が2017年に公表した「国語に関する世論調査」によると、炎上を目撃した際に書き込みや拡散を「すると思う」と答えた人はわずか2.8%。おおつねさんも「粘着して炎上を起こしている人は実際のところ少ない」と話します。

 「派手で大騒ぎになっているネット炎上でも、実際に先導している人は多くて十数人くらい。ところが何百、何千人もの人が先導してあおっていると感じてしまう。それが人間の本能というものなんです。エゴサーチやリプライも含めて、ネットから入ってくる情報はめちゃくちゃ増えています。それらに敏感に反応してしまい、大勢の人が批判しているように“錯覚”するのは、人間の本能が技術の進歩についていけていないからです」(おおつねさん)

 MiTERU取締役の東智美さんは、iPhoneケース「RAKUNI」を製造・販売するトーモの代表取締役でもあります。2016年にAppBankがRAKUNIのデザインと酷似している商品の販売を企画していたことで、炎上に巻き込まれた経験を持ちます。東さんが疑惑ついてSNSで発信したことをきっかけにいくつかのネットメディアに取り上げられ、炎上へと発展しました。最終的にはAppBankが運営するYouTube Liveに出演して事態の収拾を目指し、その際におおつねさんのアドバイスを受けながら対応したとのこと。

MiTERU取締役の東智美さん
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 当時、東さんはAppBankの動画のファンたちから誹謗中傷を受けましたが、逆に炎上には自浄作用があることを知ったと言います。

 「はじめは罵詈雑言ばかりだったのですが、2週間ぐらいの間にだんだんと“人格をおとしめる発言は良くない”といった冷静な意見が増えてきて、誹謗中傷はなくなりました。そのとき、間違ってはいけないのが謝り方だと考えていました。ウソをつくとバレたときにもっと炎上します。私はデザインの酷似問題に関しては間違っていないので、“間違っていない”というスタンスを崩しませんでしたが、短絡的にネットを使って騒いだことは素直に反省して謝りました。通すことは通すけれど、周りに迷惑をかけたことに関しては謝る。そうすれば、必ず鎮火すると実感しました」(東さん)