床下から小人のダンサーが登場

 今度は部屋の床のあちこちから、小人のダンサーが何人も生えてくるように現れた。小人ダンサーは小さくて、筆者はよく見ようとしゃがみ込んだ。小人の姿は巨人に似ている。

 小人ダンサーに触ろうとしたが、やはり体をすり抜けてしまう。その間、小人ダンサーたちもまた、我々5人を気にせず踊りまくる。そのダンスは阿波踊りのように思えた。

部屋の床下から現れた小人のダンサーを間近で見ようと、しゃがみ込む筆者
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 小人ダンサーに気を取られていると、また巨人たちが近づいてきた。いきなり家の壁を取り外し、筆者らは外の世界に放り出される。今度はいきなり、街中の公園のような場所にいた。

 公園には等身大ダンサーがたくさんいて、みんな踊っている。ブレークダンスやヨガのポーズのような動きをしている人も見受けられる。

街中の公園の真ん中に連れ出された5人の周りでは、大勢の人がみんな踊っている。巨人の姿も見える
(出所:スパイラル)(C)Cie Gilles Jobin
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 これだけ周りで踊られたら、筆者も踊らないわけにはいかない。早速、自分の目の前にいた等身大ダンサーのまねをしてみた。悲しいかな、全然うまくできない。それでも下手なりに大きく体を動かして踊った。

 体を動かすのは純粋に楽しい。現実世界でダンスをすることがない筆者のような人には、ちょうどいい機会だ。

 「そうか、これがダンスの中に入るということか」。筆者は公演のチラシに書かれていた「ダンスの中に入る」という言葉の意味を、体を動かしながら、ようやく理解した。

 しかし、お楽しみの時間は間もなく終わるようだ。またあの巨人が近づいてくるのが、ビルの合間から見えた。巨人の1人は冒頭で持ち上げた大きな岩を抱えている。

 終了は想像通り。我々5人は再び、洞窟に閉じ込められた。これでVR_Iの体験はおしまいである。

 15分は本当にあっという間だった。ゴーグル、ヘッドセット、背中の重たい装置を全て外して身軽になると、自分がかなり汗をかいていることに気付いた。それだけ動き回っていたということだ。ちなみに筆者は2回連続でVR_Iを体験したので大汗をかいた。

 現実世界で筆者ら参加者を見ていた観衆には、滑稽に映ったかもしれない。しかしそのときの筆者は観衆の目が気にならないほど、爽快な気分に浸っていた。満足度は本当に高い。筆者は過去にかなりの数のVRを体験してきているが、VR_Iの完成度の高さは評判通りだった。

 一緒に体験した参加者のアバターの動きが自然で、同じ空間で体験を共有できた効果も大きいと思う。