進撃しない巨人に囲まれる5人

 その巨人は岩を軽々と持ち上げて歩き出した。岩が取り払われると、我々5人の周りには見渡す限りの荒涼とした大地と青空が広がっている。所々にカラフルな色の石を積み上げたアート作品のようなものが見える。崖の上には1軒だけ建物もある。

 そして巨人の姿も。男女の巨人が何人かいる。巨人たちは妙に派手で、体にピッタリとした服を着ている。ダンスウエアのようだ。

 巨人たちが危害を加えてくる様子はない。「進撃しない巨人だな」と思い、筆者は思わず笑った。

 だが巨人が全員しゃがみ込んで我々5人を取り囲み、興味深げに筆者らを観察するようなそぶりを見せたときは、かなりドキッとした。巨人はアバターの筆者らより、はるかにデカい。そばに近づいてくると、かなりの迫力だ。

 巨人がすぐ近くに来ると、反射的に見上げてしまう。このとき参加者たちは実際に上を見る動きをしていることが、後から体験中の写真を見るとよく分かった。

巨人がアバターの近くを歩くとき、参加者たちは実際に上を見ている。中央が筆者
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 体験中も、これが全てVRなのは理解している。それでも巨人の動きは人そのもの。ほとんど違和感がない。我々5人のアバターの動きも自然で、みんな思い思いの動きをしている。ぼうぜんと立ち尽くす人もいれば、忙しく動き回る人、周囲をあちこち見回している人など、反応はさまざまだ。

VRの体験中、5人は自由に動き回ってよい。立っている人(手前が筆者)、しゃがんでいる人などさまざま
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 VR_Iの仮想世界では、それで構わない。各自の判断で自由に振る舞っていいのだ。好奇心が強い人と慎重な人とでは行動が異なり、アバターの動きも違ってくる。他の参加者のアバターの動きを眺めているだけでも楽しい。